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2026年10月18日08:47

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村司侑『ソリティアおじさんがいた頃』(文藝春秋)を読みました

村司侑『ソリティアおじさんがいた頃』(文藝春秋)を読みました。
著者は、九州ご出身の小説家であり、この作品は『文學界』2026年5月号に掲載され、第175回芥川賞候補作にノミネートされています。
九州ご出身ながら、現在は京都府在住ということで、この作品の舞台も京都に設定されています。土地勘あるところで、洛中の市内というよりは、伏見の中書島あたりの雰囲気を私は感じ取りました。
主人公は味噌会社に勤務する30歳を少し超えた女性であり、かつては同僚だったが今は退職してニートの男性と同棲しています。味噌メーカーに隣接する直営店、というか、アンテナショップに勤務しています。
タイトルにある「ソリティアおじさん」は、主人公の味噌メーカーのかつての上司であり、この作品の冒頭で主人公は訃報に接します。火事で亡くなった、ということです。お通夜に出席し、ソリティアおじさんの娘である喪主に呼び止められます。会話をしているうちに交際相手の話になり、後日、直営店を訪れたソリティアおじさんの娘と会話し、同棲相手に関する話にヒントを得て、主人公はある決断する、というストーリーです。
はい、これも芥川賞候補になるような純文学ですので、それなりにストーリーは展開されますが、ハラハラドキドキのストーリー展開を楽しむ小説ではなく、表現や文体を楽しむ小説なのだと考えるべきです。
そして、私が個人的に評価したいのは、京都言葉による会話です。京都言葉や関西言葉によるモノローグっぽい小説は今までにもいくつかありましたし、それほどめずらしくもありませんが、カッコでくくられた直接話法と、カッコのない間接話法、というか、心の声的な部分がとても心地よく書き分けられています。
九州ご出身ということですが、そのあたりは関西人、京都人の話法、言葉にして相手に明確に伝える部分と心の声的な相手には伝えない部分が、キチンと書き分けられています。ですので、その書き分けられている直接・間接の話法を読み取ることができる人からは高い評価を得られそうな小説です。私のようなチャチャッと速読してしまう粗雑な読者には、そのあたりは少し難しいかもしれません。
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