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2026年08月18日07:55

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飯倉穣『なぜ日本経済は停滞したのか』(エネルギーフォーラム)を読みました

飯倉穣『なぜ日本経済は停滞したのか』(エネルギーフォーラム)を読みました。
著者は、日本開発銀行、すなわち、現在の政策投資銀行のOBであり、設備投資研究所長も務めています。
本書は、タイトル通りに、現在、というか、バブル崩壊以降の日本経済の停滞について、高度成長を支えた理論として有名な下村治博士の下村理論の視点から再検討を加えようと試みています。
戦後1945-54年の復興期から始まって、コロナによる経済停滞の時期まで編年体で10部、それに今後の展望を加えて11部の構成となっています。ただし、下村理論が何かについては、たぶん、ご著者が十分理解しているだけに読者への解説があまりなく、ようやく今世紀の第7部に入って、p.397から数ページに渡って概観されているだけのような気がします。景気循環とはビミョーに異なる「景気変動」という用語を用いて簡単に解説されています。
すなわち、有効需要が有効産出を上回れば需要超過であり景気は回復ないし拡大し、逆の場合は供給超過で景気は下降します。この当たり前の景気循環論に投資の二重性、すなわち、投資は需要項目であると同時に、生産能力を拡大するという見方を組み合わせたのが下村理論、として言及されています。貯蓄率に加えて、回帰支出率、すなわち、生産物に対して生産維持に必要な支出の割合と投資の感応係数の大きさなどを考慮して景気動向を判断するということなのですが、詳細は本書をお読みいただくしかありません。
こういった観点から、戦後80年近く、すなわち、1945-2024年の日本経済の動向を分析しようと試みています。はい、当然ながら、1950-60年代の高度成長期までは、下村理論の通りに日本経済は動いており、1970年代の石油危機あたりから軌道を外れ、1990年代初頭のバブル経済崩壊からは、完全に下村理論の枠外となっているように見えます。
特に、アベノミクスの金融政策に依存した経済政策運営が本書では強く批判されています。その意味で、私の理解する限り、下村理論とは1980年代からの実物的景気理論(RBC)に近い印象なのですが、いかんせん、私自身が下村理論をそれほどよく理解していない上に、下村理論そのものの理論的解説が少ないので、それほど大きな自信はありません。最後の今後の展望を示した第11部については、雇用を重視する政策運営という以外に、私はまったく理解がはかどりませんでした。
本書の冒頭では、終戦直後に累進制の財産税1000億円の1回限りの徴収により、推定GDP比2.5倍あった2174億円の国債残高を1270億円まで償却した(p.13)、とあり、最後の第11部では、経済と財政の均衡を回復させるための大規模なマクロ経済調整によって、実質的な経済水準が10%以上低下することは不可避(p.595)とあります。やや常軌を逸した緊縮財政を志向しているように見えるのは、私だけでしょうか。

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