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2026年08月17日08:39

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スティーヴン・キング『チャックの数奇な人生』(文藝春秋)を読みました

スティーヴン・キング『チャックの数奇な人生』(文藝春秋)を読みました。
著者は、世界的なホラー小説の巨匠です。ただし、本書はホラーというよりは、ホラーの要素はあるとしても、どちらかというと感動ストーリーに属するのではないかと考えています。2話の中編くらいの長さの小説が収録されています。「ハリガン氏の電話」と表題作の「チャックの数奇な人生」です。
まず、「ハリガン氏の電話」は、『スタンド・バイ・ミー』の系統の作品であり、主人公の少年が10歳に満たないころに朗読や庭木の手入れのために、引退した大金持ちの老人宅に出入りするようになり、ロトくじで当てた3000ドルで少年が老人にiPhoneをプレゼントします。その電話は老人が死んでも少年がかけるとつながったりして、少年のある種の望みを叶えてくれたりします。
「チャックの数奇な人生」は、時間をさかのぼるような構成になっていて、第3幕のチャックが死の瀬戸際にあるところから小説が始まり、第2幕、第1幕と時間をもとに戻します。第3幕の冒頭では世界に終末が迫り、カリフォルニアの半分以上が海に没して、「日本沈没」が世界レベルで生じている終末期に、「ありがとう、チャック!」と書かれた看板広告が至るところに出現します。第2幕で物語は過去へとさかのぼり、若き銀行員チャックは出張先のボストンで、ドラムを叩くストリート・ミュージシャンや失恋したばかりの若い女性と出会ったりします。
2つの中編作品を読んでみて、私自身の好みとしては冒頭の「ハリガン氏の電話」がいいと感じるのですが、そこは出版社の意向として映画化されて封切られたばかりの「サンキュー、チャック」に敬意を表して、このタイトルにする方が売行きがいいと考えるのは、出版社の担当者だけではないと思います。私も売行きの観点からは同意します。
最近では、吉田修一『国宝』で思い知らされましたが、少なくとも日本人の平均的なリテラシーのレベルでは、小説よりも映画の方に大きく影響を受けるということなのだろうと思います。

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