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2026年07月26日07:57

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米澤穂信ほか『裏切りの捜査線』(中公文庫)を読みました


米澤穂信ほか『裏切りの捜査線』(中公文庫)を読みました。
著者は5人いて、すべてミステリ作家といえます。タイトル通りに、また、出版社の宣伝文句通りに、基本的には警察ミステリなのですが、最後の短編だけは退職刑事が主人公で、警察組織や刑事は一向に登場しません。
収録順にあらすじは、まず、米澤穂信「お見通し」は、私も読んだ短編集『可燃物』のシリーズといえ、群馬県警捜査一課の葛が警察学校同期の前橋中央署の丸山に対して、安楽椅子探偵よろしく居酒屋で会話を交わしつつ不審者事件解決のヒントを与えます。方丈貴恵「メゾン・イニシェの怪」は、特殊設定ミステリを得意とする京大ミス研ご出身の作家による短編であり、対照的な同期のキャリア警察官の警視2人を主人公に、心理学と医学の博士号を持つ科学捜査官ではなく、怪異を信じるオカルト警視の推理で事件が解決します。
荒木あかね「プライドの隙間」は、江戸川乱歩賞作家によるミステリであり、警察署内のトイレで拳銃自殺した警官から拳銃を持ち去った犯人を推理し、警察署を封鎖したわずかな時間で突き止める必要があります。松嶋智左「家につく猫」では、ヤギノメ(山羊の目)を持つ女性刑事と同僚が、隣県への出張から戻る際に農家に招かれ、鍋までごちそうになった上に監禁されます。
最後の芦沢央「コールバック」は、私も読んだ『嘘と隣人』のシリーズといえ、退職刑事の平良正太郎が主人公です。進学校に通う男子中学生の両親から、「罰ゲーム」という名目で子どもがいじめにあっているのではないか、と相談を受けて、その中学生を尾行すると、もう1人怪しい男がその中学生を尾行しています。この最後の短編は、警察ミステリではないとの見方も出来ますが、出版社のサイトでは「捜査のプロ」による事件解決、ということのようです。
それぞれに個性的で優れたミステリ作品ばかりです。5話のうち、最後の「コールバック」がページ数でカウントしてもっともボリュームありますし、プロットも凝っています。でも、私は出身大学による依怙贔屓だけではなく、科学捜査ではなくオカルト推理が真相を暴き出すという意外性と文章のコミカルさで「メゾン・イニシェの怪」を1番に推したいと思います。

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