mixiユーザー(id:68108846)

2026年07月20日08:27

32 view

床品美帆『431秒後の殺人』(東京創元社)を読みました

床品美帆『431秒後の殺人』(東京創元社)を読みました。
著者は、同志社大学ご卒業のミステリ作家であり、本書が単著デビューということになります。同志社大学ですので有栖川有栖の後輩ということなのかもしれません。本書は、京都辻占探偵六角のシリーズであり、すでに、続編の『降り止まぬ雨の殺人』も出版されています。
主人公は2人いて、横浜から京都に移り住んできたカメラマンの安見直行と代々法衣店を営む六角聡明です。2人とも20代半ばです。六角法衣店はたかだか200年の歴史らしいのですが、六角家の祖先は平安時代には宮中の陰陽寮に参内した陰陽師に行き着くともいわれていて、六角聡明は法衣店を営むほかに、失せ物探しなどの辻占いもしています。当然、ホームズとなる探偵役は六角聡明が担います。ですので、すべてではありませんが、短編によってはややオカルト的な味付けのあるミステリも含まれています。
本書は5話の短編から編まれています。短編ですが、すべて殺人事件が起こります。まず、表題作の「431秒後の殺人」では、安見直行のカメラの師ともいうべき松原京介が、雨の夜に歩いていた烏丸六角交差点でビルの屋上から落下してきた約12キロのコンクリートブロックに直撃されて死亡します。離婚話が進んでいた松原京介の妻は、死亡時刻にはタクシーに乗っていたというアリバイが成立しています。まだこの時点では京都旅行中だった安見直行が六角法衣店を訪れて、六角聡明に真相解明を依頼します。
「睨み目の穴蔵の殺人」では、すでに安見直行は京都に移り住んでいて、高瀬川沿いのカプセルホテルの広告向けの写真を請け負います。そのホテルでは、襖の武将の目が動く、とか、絵の中からその武将に睨まれた、などのウワサがあります。大学のオカルト研究会のOB/OGの20代半ばの仲間が集まって、このオカルト的な襖絵を見るために一泊しますが、翌朝、1人の男性が死体で発見されます。
「眠れる映画館の殺人」では、主人公2人が映画を見に行ったミニシアターで、その映画の脚本と監督をした浜荻葦人がいっしょに映画を鑑賞していたところ、映画の開始時点では何の問題もなかったのですが、映画が終了したときには浜荻監督が殺害されていました。
「照明されない白刃の殺人」では、呪われた骨壺が出てきて、いくつかの不可解な事故や幽霊が現れる中、京都芸術センターでのイベント中に、目出し帽をかぶった怪しい人物がイベント進行役のDJを包丁で刺して逃走し安見直行らが追うものの、曲がり角の先で忽然と消えてしまいます。
最後の「立ち消える死者の殺人」では、六角聡明の過去が部分的なリとも明らかになります。すなわち、六角聡明が中学入学を控えた12歳のころに、母親の頼子が入院中します。その入院中に、母親と同部屋の別の患者が死んで、六角頼子自身は失踪してしまいます。同じ病院に14年後の盲腸で入院した六角聡明自身が謎を解きます。
最後に、ミステリとしてはそれほどオススメしません。イヤミスという以上に、どうにもやりきれない人物造形が多すぎますし、ミステリとしての謎解きもそれほど出来はよくありません。特に、第3話の「眠れる映画館の殺人」なんて、頭の回転の鈍い私ですらツッコミどころ満載です。
でも、京都に関する教養めいた蘊蓄が豊富です。その点はオススメです。京都本として読むにはいいかもしれません。

1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する