秋吉理香子『月夜行路』(講談社)を読みました。
著者は、ミステリ作家です、イヤミスが多い印象を私は持っていたのですが、この作品はイヤミスではありません。今年2026年4月に文庫本が出ていますが、私は文庫になる前の単行本で読みました。つい最近まで、日テレ系「水曜ドラマ」枠にて本書を原作とするドラマが放映されていたりしました。ただし、私はテレビドラマは見ていません。
主人公は2人の女性であり、野宮ルナは銀座にあるミックスバー「マーキームーン」のオーナーママであり、トランスジェンダー女性です。自称小説家志望で文学オタクでもあります。沢辻涼子は野宮ルナより10歳ほど年上の専業主婦ですが、結婚する前は大学-実業団とバレーボールのアスリートであり、オリンピック選手に選出される直前までのレベルでした。現在は、夫は多忙で家に居着かず、子どもたちからも小馬鹿にされていたりします。大学生だった時に付き合っていた和人のことが今も忘れられません。
沢辻涼子が夫の浮気を疑って、浮気相手のいる銀座に来て、ひょんなことから訪れた「マーキームーン」でオーナーママの野宮ルナに和人のことを話したところ和人を探しに、2人で大阪に行く旅に向かいます。大阪では曽根崎近くのラブホに2人で宿泊します。そして、毎日のようにミステリアスな事件に巻き込まれて、野宮ルナが謎解きをします。
モチーフとなる文学作品は、まず、本書のタイトルから想像される通り、志賀直哉の『暗夜行路』です。そして、宿泊する場所から想像される通り、徳川期の近松門左衛門の『曽根崎心中』、大阪や京都の色彩濃い作品を残した谷崎潤一郎の『春琴抄』、東京のイメージ強いながら江戸川乱歩の『黒蜥蜴』などです。女性2人が、アニメでいえば「聖地」に当たる文学作品ゆかりの地を訪ねながら、さまざまな謎を解いていきます。連作短編集としても読めますし、ラストが印象的ですので、長編としても楽しめます。
すでに、続編の『月夜行路 Returns』もすでに出版されています。私は読みたいと思います。
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