mixiユーザー(id:68108846)

2026年06月21日08:10

32 view

イアン・フレミング『007 薔薇と拳銃』(創元推理文庫)を読みました

イアン・フレミング『007 薔薇と拳銃』(創元推理文庫)を読みました。
著者は、言わずと知れた本作品でも主人公を務める007ジェームズ・ボンドを主人公とするスパイ小説の作家です。この作品の英語の原題は For Your Eyes Only であり、1960年の出版です。ですので、時代背景は米ソ間の冷戦まっただ中であり、英国のスパイである007ジェームズ・ボンドが米国を横目に見ながら大活躍するわけです。今年2026年になって白石朗新訳にて出版されています。5話の短編が収録されています。
まず、邦訳の表題作「薔薇と拳銃」"From a View to Kill" では、パリを舞台にNATO欧州連合軍最高司令部からオートバイでサンジェルマン基地に向かう伝令兵が殺害されて機密文書が奪われます。ボンドがオートバイに乗って伝令兵の囮となって活躍します。続いて、原書表題作の「読後焼却すべし」"For Your Eyes Only" では、キューバのバチスタ政権末期の時代背景で、カリブ海のジャマイカに広大な農園を持つハヴロック夫妻が殺害されます。バチスタ政権に寄生する黒幕ハマーシュタインの手下のゴンザレス少佐が実行犯であり、ボンドとハヴロック夫妻の娘が復讐に乗り出します。
「慰藉の定量」"Quantum of Solace" では、バハマの首都ナッソーにある総督官邸のパーティーで、ボンドが結婚するなら客室乗務員(CA)だと発言したことから、CAと結婚した植民地省公務員の結婚生活について、ボンドが総督から長いお話を聞かされます。続いて、「危険」"Risico" では、ボンドは麻薬捜査のためにイタリアに行きます。CIAや米国のシークレットサービスと通じているイタリア人から黒幕を聞き出し、その愛人を通じてヴェネツィアに向かいますが、逆に捕まってしまいます。
「稀少種ヒルデブラント」"The Hildebrant Rarity" では、Mの指示により海軍の艦隊基地建設の安全確保のためにボンドはセーシェル諸島に派遣されます。現地調査員とともに米国の大富豪の船に招待されますが、その大富豪が殺害されます。
ということで、はい、アクション要素もたっぷり盛り込まれており、もちろん、いっわゆるボンド・ガールと目される女性も登場し、エンタメ要素たっぷりの短編集です。本書の中の短編から、いくつか映画化もされており、5話を収録しているということで、とってもお得感がある本です。
ただ、4話目の「危険」では、ボンドはミッションを果たしたように読めますが、最後の5話目の短編「稀少種ヒルデブラント」なんか、ボンドは果たしてMの指示によるミッションを実行したのかどうか、やや疑わしいものもあったりします。まあ、そのあたりはどうでもいいのかもしれません。また、米国の関係者が登場する場面もあって、冷戦中の米ソ対立の中で大英帝国の地位の低下が暗示されている部分も少なくありません。でも、やっぱり、007なんですからドンパチも含めたアクションのエンタメ要素に注目すべきだろうと思います。

1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する