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2026年06月10日07:22

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丹羽宇一郎『Z世代は戦後初めて銃をとる世代になるかもしれない』(東洋経済)を読みました

丹羽宇一郎『Z世代は戦後初めて銃をとる世代になるかもしれない』(東洋経済)を読みました。
著者は、伊藤忠商事社長、政府の経済財政諮問会議の民間委員、在中国大使などを歴任しています。
タイトル通りの本です。2年半ほど前の2023年暮れに「新しい戦前」というバズワードが出て、その後、昨年に現在の高市内閣が成立して、どんどんと右傾化が進んで「戦争ができる国」の準備が進んでいると感じているのは、たぶん、私だけではないと思います。そして、戦争に進む方向については、あくまで私の想像ながら、賛成しているのはごく一部であり、大多数の国民が反対していることと思います。
戦争に進む原因のひとつとして、本書ではテゥキュディデスの罠を上げていますが、同時に、国民の反戦の意見は熱狂によってかき消され、簡単に国民意志は戦争に向かってしまう恐ろしさも過去の経験から明らかにしています。そして、安倍内閣による集団的自衛権の閣議決定などから始まって、岸田内閣の敵基地攻撃能力の整備、さらに現在の高市内閣のいくつかの安全保障政策はもちろん、昨今の方向を突き詰めれば戦争に行き着きます。
したがって、第3章のタイトルは本書のタイトルと同じで、Z世代が銃を取って戦争に参加させられる可能性を論じています。村上春樹『1Q84』ではチェーホフを引いて、小説に銃が出てくれば発射されねばならないと登場人物に言わしめています。同様に、戦争準備が整えば戦争を始める可能性が高くなるのは当然です。引用元を明示できませんが、核兵器をこれだけ積み上げておいて、核兵器を戦争で使わなかったのは歴史的に見てきわめて異例である、といった主張も見かけたことがあります。
本書の主張で、もっとも私が注目した点のひとつは、第5章のメディアとの関係です。現在、さまざまな要因・原因があるのでしょうが、テレビや新聞といった伝統的なメディアがことごとく政府や権力者のプロパガンダ機関と化している現実に、私はとても大きな危惧を持っています。もっともはなはだしいのが、いうまでもなく、NHKであり、政府の広報機関となっています。
今でも「大本営発表」といえば、真実からかけ離れた政府や権威筋の公式見解、という意味で使われますし、メディアが「大本営発表」を垂れ流すのではなく、政府や権力との適切な緊張関係にあることを願う意見は無視できないと私は考えています。
最後に、本書の見方を2点批判しておきたいと思います。第1に、戦争が始まるのはさまざまな要因があるとはいえ、突き詰めて考えれば、戦争で何らかの利益を上げる集団が権力を握るからです。おそらく、国民主権の見方からすれば、圧倒的多数の国民は戦争からネガな影響を受けるのですが、ごく一部といえどもポジな結果を受け取る集団があるわけで、それが決定権を握る可能性を排除できなければ戦争に向かいかねません。第2に、反戦を貫くためには、本書では「戦争に近づかない」と表現していますが、受け身でその方向も重要かもしれませんが、数は少なくても一定規模の集団が積極的に反戦を訴える必要があり、そういった勢力への国民の支持が不可欠です。

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