"Labor Market Impacts of ICE Activity in Trump 2.0" と題する論文を読みました。第2期目の米国トランプ政権で移民・税関捜査局=ICE: Immigration and Customs Enforcement による不法移民 undocumented immigrants 取締りが米国雇用にどのように影響を及ぼしたかを分析しています。
要するに、地域と業種での分析結果が明らかにされています。ICEによる逮捕者が多い地域で、米国生まれ労働者 U.S.-born workers へのポジな波及効果は見られなかった一方で、移民が多く働く業種 immigrant-heavy sectors でも、悪影響をこうむっている harmed ことが計量的な分析で明らかとなっています。論文の Figure 7: Event Study Estimates on U.S.-Born Labor Market Outcomes in Likely Affected Sectors では、米国生まれ労働者へのポジな影響がないとする結果が示されています。
結論 Conclusion として、ICEの大量逮捕は不法移民と米国生まれ労働者の補完性を失わせることにより、米国生まれ労働者の不利益となっている可能性 "If anything these U.S.-born workers are harmed as a result, likely due to complementarities in production between the different jobs undocumented immigrants and U.S.-born workers typically take." を示唆しています。
最後に、日本について考えたいと思います。繰返しになりますが、米国では、労働供給のサイドから不法移民が米国に入り込んできて米国生まれ労働者の職を奪う=代替する、という考えが本論文では否定されています。むしろ、不法移民と米国生まれ労働者は補完的であり、不法移民がいなくなれば、米国生まれ労働者に不利益になる、という結論です。日本では、外国人労働者は勝手に入り込んでくる不法移民はまったく多くなく、日本にある企業から需要された労働力です。ですから、直感的ながら、米国よりも日本の方がより現地生まれ労働者との補完性が強いんではないか、と私は想像します。結論として、外国人労働者がいなくなれば、逆に、日本人労働者のデメリットが大きくなる可能性が高い、と考えるべきではないでしょうか。
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