ハープ奏者の中村愛のソロ・リサイタル。
愛はめぐみと読む。
実演を聴くのは初めてだ。聴いてみたいと思いつつ、なかなかタイミングが合わなかった。
今回は、ハープで聴く管弦楽、ということでオーケストラ曲やオペラをハープ用にアレンジしたものをプログラムの中心に据えている。その中に日本初演となるハープ・オリジナル曲を交えている。
モーツァルトやロッシーニに今になっても日本初演曲があるのか、とちょっとビックリだ。
中村愛:ハープ
* ハープ・オリジナル作品
01.リムスキー=コルサコフ(マックスウェル/編):交響組曲『シェエラザード』より、「愛のテーマ」
02.モーツァルト:「美しきフランソワーズ」による12の変奏曲 K.353 *(日本初演)
03.モーツァルト(ライネッケ/編):ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488 より、第2楽章
04.ブラームス(ジンガー2世/編):交響曲 第3番 ヘ長調 Op.90 より、第3楽章
<休憩>
05.ロッシーニ:ハープのためのソナタ *(日本初演)
06.ロッシーニ:アレグレット *(日本初演)
07.ヴェルディ(中村愛/編):組曲『椿姫』
08.プッチーニ(中村愛/編):ジャンニ・スキッキ・パラフレーズ
<アンコール>
09.モリコーネ:ニュー・シネマ・パラダイス メドレー
10.ヴェルディ:歌劇『アイーダ』より、第1幕第2場への導入曲
まずは真紅の衣装で登場。ドレスの一言では言い表せない形。
弾くときは靴を脱ぐ。その方がペダルを操作しやすいのだろう。
シェエラザードは第3楽章をメインにアレンジしたもの。
原曲もハープが活躍するので違和感はない。
できれば第3楽章全体をアレンジしてほしかったと思う。ね、マックスウェルさん。
モーツァルトを2曲。
変奏曲は純粋にモーツァルトの作曲とは言えないらしい。というのも当時の生徒にして恋人のマリー・ルイーズが作曲した部分も含まれているからだ。ピアノではそこそこ演奏されるらしいが、ハープ用の曲であること自体ほとんど知られていないらしいのだ。というわけで今回が日本初演。
モーツァルトの曲の日本初演に立ち会えるなんて、そんなことがあるなんて考えてみたこともない。
23番のピアノ協奏曲の第2楽章はこの世の中で最も美しい音楽に数えられるものだろうと思う。
それをハープ・ソロで。アレンジはライネッケなんだね。
十分に美しい。ハープ独奏ゆえに神秘的な雰囲気も漂う。
ブラームスの3番の第3楽章も綺麗な音楽。
幽玄な響きが意外に合う。しかし、ハープで弾くには難しそうだ。
これらの編曲物はいずれも高度な技巧を求められているというように思えた。
休憩中に弦の交換をしていて、ついつい見入ってしまった。
前半最後で切れそうになった弦があったとのこと。
ハープという楽器は大変だなと思う。
後半は藍色系のドレスにお召替え。
ロッシーニの2曲も日本初演。
高名な大作曲家にもまだそういう曲があるのだなと驚いてしまう。
ソナタは2部構成で3分ほど。アレグレットは1分程度。いずれも短い曲だが、特にソナタはとても良い曲。短調の前半はリリカルでとても良い。
椿姫は美味しいところをピックアップした組曲仕立て。ストーリーを追いかけられるようになっている。
ジャンニ・スキッキは『私のお父さん』を中心にいろいろなメロディーを散りばめている。
どちらも奏者自身の編曲で、さすがにハープの特性を生かしたものになっている。
技巧的にも表現的にも聴き応えがあり、単にヴィルトゥオーゾ・チューンではない深みすら感じる。
と同時にヴェルディとプッチーニのメロディーメーカーぶりも改めて感じることとなった。
アンコールの『ニュー・シネマ・パラダイス』はハープによく合う。
ホントにいい曲だなあ。
もう1曲のアイーダは劇的に盛り上がる。
どちらもアンコールに相応しい。
曲の合間のMCも楽しい。まさか笑いを取るようなMCをするとは…。
いいリサイタルだった。
ハープという楽器のポテンシャルを感じさせるものだった。
サイン会でも丁寧な対応。
対象は本人アレンジの楽譜。1,000円なので記念としてもお手頃。
廃盤で入手困難なCDを持って行ったら、どこで入手したのか訊かれてしまった。もちろんサインをしてくれた。
見た目とのギャップが激しいおねえさんでした。
けっこうお茶目です。
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