スミマセン。間違ってました。
以下、差し替えました。
犬丸幸平『最後の皇帝と謎解きを』(宝島社)を読みました。
著者は、第24回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した本作品でデビューしています。ただ、現在はパキスタンで絨毯の買付けなどをしている、と紹介されています。
タイトルから容易に想像できる通り、舞台は中国の首都である北京、時代は1911年の辛亥革命からそれほど時を経過していない中華民国初期の1920年です。まだ、最後の清朝の皇帝であった愛新覚羅溥儀が廃帝としてながら紫禁城に住んでいます。当時、15歳です。本作品でも名前だけ登場するジョンストンが家庭教師として溥儀を教育しています。私は一応ジョンストンの『紫禁城の黄昏』も読んでいたりします。
この作品では、日本人絵師の一条剛が主人公で、溥儀の水墨画の師として雇われるところから始まります。しかし、実際は、溥儀に水墨画を教えるわけではなく、紫禁城内に眠る水墨画を贋作にすり替えて真作を秘密裏に売り払ってしまい、清朝復興や溥儀の皇帝への復辟の資金調達とする目的がありました。このあたりまでは、出版社のサイトにもありますから、ネタバレではないと思います。
本書は4章構成であり、章の間に溥儀の日記が挟まれています。登場人物は、主人公の一条剛と皇帝の溥儀のほか、大部分が宮殿に仕える宦官=太監であり、同時期に宮殿入りした太監は排行といって、同じ字を持つ習慣があり、私のような頭の回転が鈍い読者は名前と地名が大混乱を来たしました。
ストーリーの進行に従って、殺人を含む事件が起こり、謎解きがなされるわけです。第1章では宦官=太監の1人が不審死をし、第2章では「画龍点晴を欠く」龍の目が何者かによって描き入れられ、第3章ではひとりの宦官=太監がある時期を境に感情をなくした原因を究明し、第4章では新たに贋作作成に加わった若い宦官=太監の1人が殺害され、一条剛の正体が明らかになります。まあ、どうでもいいことかもしれませんが、巻末に作者の参考文献と選考委員の選評が収録されています。
日本では、中国や朝鮮のような制度化された宦官はいなかった、というのが通説だと私は聞き及んでいますし、馴染みのない制度であることはその通りだろうと思います。そして、おそらく、清朝末期の印象から宦官の専横ぶりが私の印象にあるのですが、この作品では極貧家庭から宦官になるというルートが明示されていて、その部分などはエモいところがあります。また、時折、溥儀が「ジョンストンにきいてみよう」と発言する時があり、本書の主人公との位置づけの差もうかがい知ることが出来ます。
最後に第4章で主人公の正体が明らかになった時、私は大いに驚かされたのですが、ストーリーとしては大きな変化を迎えるわけでもなく淡々と結末を迎えます。驚かされた割には、何だったんだ、という気がしました。まあ、私だけかもしれません。
ログインしてコメントを確認・投稿する