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2026年04月06日07:50

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AI, Human Cognition and Knowledge Collapse

本ではありませんが、ノーベル賞を受賞したアセモグル教授らによるNBERワーキングペーパー “AI, Human Cognition and Knowledge Collapse” です。
前置きが延々と長くなりますが、立命館大学経済学部では今日から新年度の新学期が始まります。
大学教授会でも、たぶん、考えに考えた結果、リポート作成などでAIを許可するかどうかは各授業の教員に任せる、という結論に達したようです。もちろん、個人情報や秘密事項をプロンプトに入力しない、という前提はあります。私は定年を過ぎた特任教授ですので、教授会などの議論には参加していません。
どうして、担当教員にAI使用について任せるかといえば、もしも学生がリポート作成などをAIに丸投げしたとしても、現時点での技術水準であれば、教員にはAIを使ったかどうかが判るからです。たぶん、私にも識別できるんだろうと思います。例としてはよくないかもしれませんが、SNSのタイムラインなんかにグラビアアイドルの画像が流れてくる中で、AI作成の画像があったりしても、少なくないSNSユーザが現在の技術水準ではAI画像だと識別できるんではないでしょうか。おそらく、グラフィックデザイナーとかのプロが見れば、もっとよく判るんだろうと思います。はい、ですから、学生のリポートなどを見るプロの大学教員であれば、AIに丸投げしたかどうかはかなり確度高く識別できると考えるべきです。
その上で、私は各授業でリポート作成などでのAI利用は自由と申し渡す予定です。ただし、その前提として、おそらく、AIを利用すればいい出来のリポートが書けて、成績評価は高くなる可能性が高い一方で、知的能力や考える力はそれほどつかない可能性も高く、逆に、AIに頼らなければ成績評価はそれほど望めない一方で、考える力がついて将来的にAIを使えない場面では良好な結果を残せる可能性が高い、という点をよく考えて、自己責任でAIと付き合うように、ということです。たぶん、どこかの中間に各学生の最適解があるんだろうと思います。
私の想像では、リポート作成などでまるっきりAIに頼るまではしないとしても、何らかAIを使う学生がほとんど、たぶん、8割を超えると思います。だとすれば、AIを使ったかどうかが判るとしても、禁止するのはムリがあります。同時に、私のようなしがない大学教員がいかに抵抗しようとも大きな流れは止められません。すなわち、このアセモグル教授らの論文が示しているように、AIが人類の知的能力向上の危機をもたらす可能性は忘れるべきではありません。この論文では、エージェント型AIはその場限りの意思決定の質を向上させうる一方で、長期的な集合的知識を維持する学習意欲を損なう可能性 "while agentic AI can improve contemporaneous decision quality, it can also erode learning incentives that sustain long-run collective knowledge" を指摘しています。私が学生諸君に示したように、成績評価は上がるかもしれないが、考える力がつかない可能性が高い、という結論はここからヒントを得ています。ただ、この論文はあくまで一定の動学的モデルのもとで条件付きの結論と考えるべきです。ノーベル賞エコノミストが示した間違いのない将来では決してありません。

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