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2026年03月17日08:16

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冨山和彦[著]・松尾豊[監修]『日本経済AI成長戦略』(文藝春秋)を読みました。

冨山和彦[著]・松尾豊[監修]『日本経済AI成長戦略』(文藝春秋)を読みました。
著者と監修者は、それぞれ、日本共創プラットフォーム(JPiX)代表取締役と東京大学大学院工学系研究科教授です。
本書の主張はまさにタイトル通りなのですが、冒頭第1章では、なぜDXで失敗したのか、から始めています。その主張は、要するに、DXではデジタル人材による業務改革であって、人材との競合や人材からの代替を目指していたのに対して、本書でいうAX、すなわち、AIを活用したAIトランスフォーメーションでは、フィジカルAIも活用しつつ、AIを部下として活用するボス型人材の時代になる、ということのようです。ですから、AXはDXから不連続であって、DXに失敗していても、リープフロッグ的にAXに成功する可能性は十分ある、と強調しています。逆にいって、DXの勝者がそのままAXでも先行できる保障はない、ということです。
そして、AIを部下にするボス力として、問いを立てる=プロンプトの設計、決断する、責任を取る、などといった要素を指摘し、p.62から何度か登場する知的スマイルカーブが成立する、と主張しています。同時に、今までの情報の伝達や整理を担っていた部下的存在のホワイトカラーのこなす業務がAIに大きく代替される、という点が強調されています。
ただ、この点は日本的なローカルな中小企業にはかえって利点となる可能性も同時に指摘されています。創業者一族のトップダウンによる意思決定や規模が小さくて小回りのきく経営体制などとともに、現在の部下的役割を果たしているホワイトカラーが現場に強い点も強調されています。少し前に流行った「現場力」を私は想像してしまいました。そういった部下的役割のホワイトカラーの現場化を、第4章ではライトブルーカラー、第5章ではアドバンスト・エッセンシャルワーカー、などと表現しています。いずれにしても、ホワイトカラーではなくなる、という含意なのだろうと私は受け止めました。
マクロエコノミストの私の目から見ても、この第4章ないし第5章以降で論旨がよれ始めてスライスし、本書の最後の方はOBゾーンに落ちている可能性もあります。第7章で、個人としての対応にかこつけて Venture for Japan(VFJ) なるプログラムを推薦したり、第8章では、とうとう、著者の主宰する日本共創プラットフォーム(JPiX)の宣伝に走ったりしています。まあ、このあたりは眉に唾つけて読む読者もいそうな気がします。
最後に、本書では、文部科学省ばりに首都圏や関西圏の伝統私学の文系学生の処遇についても、ひと捻りした考察を述べています。はい、まさに私が大学教員として教育の対象としている学生諸君であり、知的スマイルカーブの情報の伝達・整理といったボトムの部分でAIに大いに代替されてしまいそうな部下力の高いホワイトカラーです。本書では「現場エキスパート」と呼んでいるライトブルーカラーやアドバンスト・エッセンシャルワーカーへの選択肢を示し、「時間が止まっている親御さんや先生の意見は丁寧に聞き流す」ことにより、決して将来は暗くない未来を描いている点も付け加えておきます。
詳しくは、読んでみてのお楽しみです。

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