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2026年03月05日07:55

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内山由紀子『日本人の幸せ』(中公新書)を読みました

内山由紀子『日本人の幸せ』(中公新書)を読みました。
著者は、京都大学人と社会の未来研究院教授であり、ご専門は社会心理学、文化心理学だそうです。私の子どもが心理学を大学で勉強していたのですが、経済学と同じように心理学にもミクロとマクロがあり、臨床心理学がミクロで、社会心理学はマクロだと聞き及んだ記憶があります。
本書では幸せや幸福に対して、ウェルビーイングを眼目としています。私は専門外なのでよく判らなかったのですが、ウェルビーイングというのは個人の瞬間的な幸せに加えて、もっと持続的で周囲の環境も含む、と説明しています。その上で、表紙画像にあるように国際比較を考え、文化心理学の観点から日本人に特徴的なウェルビーイングを解明しようと試みています。ただ、常識的にも理解できますが、国際比較や国別ランキングなどにどこまで意味があるかは懐疑的な見方を示しています。
日本だけに限られた特徴ではありませんが、『孤独なボウリング』のパットナム教授のいう社会関係資本の重要性を指摘します。加えて、日本的な特徴を考える場合、欧米では個人的な達成感や自己実現などが重視されるのに対して、日本では対人関係やいろいろと調和的な志向や行動が、おそらく、幸福感やウェルビーイングの重要な基盤となる、という指摘をしています。そうかもしれません。
したがって、地域コミュニティや学校・職場といった所属する組織を「場」という言葉で表現し、その重要な基盤的役割を強調しています。ただ、日本でもしばしば見られますが、この「場」に対する同調圧力が強い、というのも日本的な特徴のひとつといえます。
そういった学校の学風、職場の企業風土などに対して、日本的な特徴を示すとともに、特に後者の企業風土が国際化、グローバリゼーションによって変化しつつある点を指摘しています。具体的には自己の2階建てモデルとして。第6章、p.134で図解しつつ示しています。そのあたりは読んでみてのお楽しみです。
最後に、私は経済政策の目標を個人の幸福度の上昇に置くことは懐疑的です。すなわち、物価を抑制したり、失業率を引き下げたりするよりも、ドーパミンだか、セロトニンだかの幸福ホルモンを国民に配布するのが経済政策として重要かといえば、否定的な意見が多いと考えています。ただ、本書で示されているような幸福やウェルビーイングの基礎をなすような経済社会的の諸条件を整備することは経済政策の重要な役割である、と考えています。

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