岩城一郎『日本のインフラ危機』(講談社現代新書)を読みました。
著者は、日本大学理工学部土木工学科の教授であり、コンクリート構造物の高耐久化やインフラのメンテナンスがご専門のようです。ですので、本書ではコンクリート構造物のインフラを主として取り上げています。
昨年1月末に埼玉県八潮市で道路が陥没し、トラック運転手の方が亡くなったのは、まさに、本書で指摘するインフラの劣化が原因のひとつと考えられます。本書で指摘しているように、米国も1980年代にインフレの劣化対策が進められています。1930年代のいわゆるニューディール政策のに基づくインフラ整備の50年後に相当するわけです。日本では、米国が1930年代から進めてきたインフラ整備を、1960年代から70年代に急速に進めたため、現在の時点で50年ほどを経過して老朽化が進み、タイトルになっている「インフラ危機」の時期となっている、という結論です。
前半ではこういったインフレ整備や老朽化の一般論、日米比較がなされた後、後半では著者ご専門の橋などのコンクリート構造物についての技術論が展開されています。後半は私の専門外の分野ですし、本書の技術的な内容なほとんど理解できませんでしたが、そろそろ、日本もリニア新幹線なんかの新しいインフラを建設するよりも、ひょっとしたら、既存インフラのメンテナンスや耐久診断などに力を入れる段階に来ているのかもしれないと感じさせられる部分はありました。特に、インフラは地方公共団体に依存する部分が少なくないわけですから、いずこも同じご予算不足で限られたリソースをインフラの維持管理に振り向ける必要も感じました。
最後に、本書ではコンクリート構造物に焦点を当てていますが、ある意味では、国民生活のライフラインとしてさらに重要な水道、特に上水道の水道管の劣化が私は気になっています。でも、技術的なことに理解が及ばないだけに、ややもどかしさも感じています。
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