mixiユーザー(id:68108846)

2026年02月25日11:03

42 view

山川哲史『市場が見た日本経済』(金融財政事情研究会)を読みました

山川哲史『市場が見た日本経済』(金融財政事情研究会)を読みました。
著者は、日本銀行から外資系投資銀行、すなわち、ゴールドマン・サックス証券とバークレイズ証券を経て、現在は立命館アジア太平洋大学(APU)国際経営学部の教授を務めています。私はゴールドマン・サックス証券のチーフエコノミストをされていたころに1度か2度かお会いしたことがります。
本書は冒頭で明記されているように、「金融市場の視点から見た日本経済論であり、円資産を中心とした金融市場論である。」ということになります。ですので、章構成は海外投資家による7大トレード、すなわち、日本化トレード、脱デフレトレード、正常化トレード、機会主義トレード、割安トレード、日本売りトレード、匍匐前進トレード、ということになっています。
多くのエコノミストが注目しているマクロ経済指標や統計、あるいは、それらに基づく景気循環といったものではなく、株式+債券というくくりの証券を中心とする金融市場の動向を通じて日本経済をひも解こうと試みています。
その試みが成功であるかどうかは、まあ、読者次第なのかもしれませんが、私は基本的に懐疑的です。なぜなら、第1に、バックグラウンドに理論モデルが見えないからです。したがって、因果関係や相関関係も不明で、金融市場における証券価格の動向がそこにあるだけで、何で決まるのかについての解説に欠けています。
第2に、金融市場は経済のファンダメンタルズと乖離することがあるからです。乖離してもいいから金融市場でひと儲けしたい、という向きにはいいのかもしれませんが、どちらに乖離するかは、ある意味で、ギャンブルですから、金融市場へのベットもギャンブルの要素を含む可能性がある、と私は考えています。
ですから、私は金融市場の証券価格動向よりは雇用の質と量を重視するエコノミストでありたいと願っています。ただ、強く同意するのは、足元の株式市場の高騰は脱デフレに基づいていてる、という見方です。政府や日銀は慎重に「脱デフレ」とはいいませんが、少なくとも、現在の物価が日銀目標を上回っていることは明らかで、株式価格が上昇しているのはこの物価上昇と連動している面があります。
ですから、逆に、2月20日に公表された消費者物価上昇率(CPI)、生鮮食品を除く総合のコアCPIの上昇率が日銀目標の+2%近傍にまで落ち着いてきましたので、先行き物価上昇がさらに鈍化すれば、株式相場の上昇が終了する可能性もあります。もしも、物価上昇が鈍化しても株式相場の上昇が終わらなければ、それはバブルの要素が入っている可能性もあります。
最後に、海外投資家の7大トレードにはいちいち英訳がつけられていて、7大トレード以外にも英語表現が明記されているものがあるのですが、少なくとも「匍匐前進」はMuddling thoughではなく、crawling forwardではないかと思います。まあ、泥っぽい表現にしたい気持ちは判ります。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する