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2026年02月12日08:24

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マイケル・マン『ファシストたちの肖像』(白水社)を読みました。

マイケル・マン『ファシストたちの肖像』(白水社)を読みました。
著者は、英国出身のようで、米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)社会学部教授を務めた後、現在は名誉教授となっています。本書の英語の原題は Fascists であり、いささか古くて2004年の出版です。
邦訳タイトルは英語の原題に引っ張られてしまったようですが、「肖像」というのはややミスリードかもしれません。というのは、ファシズム運動を進めたファシストといえば、イタリアのムソリーニやドイツのヒトラー、と私のような専門外のシロートの頭に浮かぶわけですが、決して、個人を取り上げてパーソナリティを論じたりしているわけではなく、戦間期の大陸欧州のファシズム運動について統計的な把握を試みようとしています。ですので、巻末にいくつか付表が掲載されており、例えば、最初のテーブルのタイトルは「付表3.1 イタリア・ファシスト党員の職業的背景」ですし、2番目は同じように「付表4.1 ドイツ・ナチ党員の職業的背景」だったりします。
本書冒頭の第1章でも何点かの重点のうちのひとつはファシズム運動の社会的支持層について真剣に考える必要を論じています。繰返しになりますが、まず、本書の歴史的地理的なスコープは戦間期1930-40年代の大陸欧州です。ですから、日本は対象に入っていません。
本書の著者の従来からの見方として、古典的ファシズムの運動と体制について、極端なナショナリズム、権威主義的な国家主義、階級闘争の超越、政治・民族・宗教などの面での浄化、の4つの主要なイデオロギー的要素の結合、という観点から定義しています。私のような専門外のシロートには最初の2点がついつい強調されますが、後の階級闘争の超越や民族などの浄化もファシズムの重要な要素であり、いわれてみればその通り、という気がします。
本書では冒頭2章でファシズム運動について広く議論した後、第3章からは国別にファシストの統計的な分析を試みています。元祖ともいうべきイタリア、そして、ドイツの2国が最初で、続いて、オーストリア、ハンガリー、ルーマニア、スペインとなり、最終章で結論を提示しています。詳細は読んでみてのお楽しみというところですが、運動や体制としてのファシズムですから、個人としてサディストやサイコパスだけで構成されているわけでもなく、通常の一般国民と変わることなく、「高邁な理想を掲げた運動」であることを信じ込ませた点を強調しています。
その意味で、よく引用されるハンナ・アーレント教授(Hannah Arendt)の代表作『全体主義の起源』The Origins of Totalitarianism の次の文章を思い出しました。すなわち、"The ideal subject of totalitarian rule is not the convinced Nazi or the convinced Communist, but people for whom the distinction between fact and fiction (i.e., the reality of experience) and the distinction between true and false (i.e., the standards of thought) no longer exist." です。明日の総選挙の投票には、心して臨むべき、という気がします。

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