宮島未奈『それいけ! 平安部』(小学館)を読みました。
著者は、成瀬あかりのシリーズで有名な小説家です。『成瀬は天下を取りにいく』では2024年に本屋大賞も受賞しています。ですので、出版社の期待も大きいようで、本書の特設サイトが開設されています。人物相関図などはそちらを参照するのが吉かと思います。
小説の舞台は京都から190キロ離れた県立菅原高校です。主人公は平尾安衣加であり、姓と名から冒頭1字ずつを取れば「平安」となります。おじいさんが書道教室をしています。この平尾安衣加が成瀬あかりのように観察対象となり、観察する主体で視点を提供する島崎みゆきの役回りを牧原栞が務めます。平安時代にモテた色白でのっぺりした顔だそうです。
この県立菅原高校の入学式からストーリーが始まり、同じ1年5組になった平尾安衣加が牧原栞を誘って、県立菅原高校に平安部を設立しようとくわだて、中学のころはサッカー部で蹴鞠にアツくなる大日向大貴が平安部に入ります。ここまでが1年生で、2年生も2人誘います。高身長かつメチャメチャなイケメンで物理部から移籍してきた光吉光太郎は、書道教室に通っていた縁で平尾安衣加の幼馴染みです。百人一首部の幽霊部員だった明石すみれも加わります。牧原栞だけが菅原市の隣町の森富町から鉄道で通っていますが、ほかの4人は菅原市民であり、自転車通学もいます。顧問は平尾安衣加と牧原栞の1年5組の担任で数学教師の藤原早紀子先生であり、平安時代にゆかりのある姓なのはいうまでもありません。
まず、冒頭で部活動として成立する要件として5人を集め、平尾安衣加の家で書道体験をしたりした後、夏休みに京都で開催される平安蹴鞠選手権に遠征し、そして、秋の菅原高校の文化祭での活動がクライマックスとなります。高校生を主人公とするさわやかな青春小説であり、いくつかピンチはありますが、お約束でくぐり抜けます。主人公はどうしても、成瀬あかり的な独特のキャラですが、悪い人物や意地悪な仕打ちはほぼほぼなく、適度に天然なキャラの登場人物もいますし、とても読みやすい良い小説です。
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