読響首席、東京六人組のクラリネット奏者、金子平くんのリサイタル。
六人組で何度も聴いているが、リサイタルは初めて。
金子平:クラリネット
清水弘治:ピアノ
01.ミヨー:カプリス Op.335a
02.ヴィドール:序奏とロンド Op.72
03.コヴァーチェ:ドビュッシーへのオマージュ、ファリャへのオマージュ
04.サン=サーンス:クラリネット・ソナタ 変ホ長調 Op.167
<休憩>
05.ノルベルト・ブルグミュラー:二重奏曲 変ホ長調 Op.15
06.デニゾフ:無伴奏クラリネットのためのソナタ
07.シューマン:幻想小曲集 Op.73
<アンコール>
08.クラリネットとピアノのための小品
09.(なんだっけ?)
想像していた以上に聴き応えのあるいいリサイタルだった。
ブラームスやプーランクのソナタを組み込まずにここまで充実したプログラムが組めるのかと驚かされた。
聴いたことがあるのはサン=サーンスとシューマンくらい。
ミヨーはミヨーらしく楽しい小品。挨拶代わりか。
ヴィドールは品のある序奏と超絶技巧炸裂のロンド。
金子くんは余裕をもって演奏しているという印象。音色の乱れもなくさすがだ。
ピアノも音色の抽斗が多いようだ。
コヴァーチェの無伴奏曲はもともとは古今の作曲家に対するオマージュを曲にした9曲の曲集なのだそうだ。
今日はそこからドビュッシーとファリャをピックアップ。
なるほど、と思う。特にファリャはファリャっぽい。
前半最後はサン=サーンスのソナタ。今日のプログラムの中では有名な方だ。
これは掛け値なしの名曲。ソナタと言いつつ組曲のような不思議な曲だが、ホントにいい曲だ。
金子くんの澄んだ音色が魅力的に響く。
また第3楽章の終盤に静かにピアノだけが鳴るところがあるが、そのピアノが天国的に美しかった。
休憩を挟んでブルグミュラーから。
ここでのブルグミュラーはあのピアノ練習曲を作曲したフリードリヒではなく、弟のノルベルトなのだそうだ。
夭折だったらしい。
ロマンティックで美しいメロディーの映える曲。覚えておきたい曲だ。
デニゾフの無伴奏はいかにも現代音楽という曲。当然調性感はなく、微分音も多用している。
とはいえ取っつきにくくはなく、すんなり聴ける。これも金子くんの演奏ゆえか。
最後はシューマン。
これは有名曲。まさにシューマンと言えるような浪漫的な曲。
金子くんは思い入れたっぷりに吹く。柔らかなピアノも好演。
金子平というクラリネット奏者の実力を知らしめるような充実した内容だった。
六人組でその凄さは知っていたが、こうやってリサイタルで聴くと改めてその高いポテンシャルに唸らされる。
これでようやく六人組の六人全員のリサイタルを聴けたことになる。
ピアニストの清水氏もいい演奏を聴かせてくれた。
金子くんとの相性も良いようだ。
金子くんと清水さんは自宅が5分の距離というご近所さんなのだそうだ。
どちらの奥さんも演奏家で、そういう縁で知り合ったのだという。
ちなみに、金子くんの奥さんはトロンボーン奏者、清水さんの奥さんは打楽器奏者とのこと。
ホントに良いリサイタルだった。
残念だったのは観客が少なかったこと。
「あと200席埋まれば満席だったのに」と自虐ギャグを口にするほど。
それだけが残念。
聴かなかった人は損をしたぞ、と。
終演後、話をすることもできた。
たまにはリサイタルもやらないとね、と言っていたから、めげてはいないのだろう。
充実感に溢れたいい笑顔を見せてくれた。
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