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2025年12月31日08:55

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佐藤隆広・西山博幸[編著]『新新貿易理論とインド経済』(ミネルヴァ書房)を読みました。

佐藤隆広・西山博幸[編著]『新新貿易理論とインド経済』(ミネルヴァ書房)を読みました。
編著者はそれぞれ、神戸大学経済経営研究所教授と兵庫県立大学国際商経学部教授です。
本書はタイトルからも明らかな通り、メリッツ教授らが切り開いた新々貿易理論(NNTT)を解説しつつ、NNTTの分析枠組みでもってインド経済を実証的に捉えようと試みています。ひとつお断りですが、本書では「新新貿易理論」と漢字を2つ並べていますが、このレビューでは通常の表記に従って「新々貿易理論」と表記しています。悪しからず。なお、本書は完全な学術書であり、冒頭の2章ではかなり詳細な数式の展開がなされています。
3部構成のうち、前半2章では新々貿易理論(NNTT)、中盤の2章でグローバル化の中のインド経済、最後に日本企業のインド経済における活動に、それぞれ着目しています。
私は今さらながらという気もしますが、メリッツ教授の新々貿易理論(NNTT)の理論展開の方に興味があり、インド経済は流し読みした程度です。
これまた、今さらながらで、貿易理論は3世代あり、古典派経済学の伝統的なリカード貿易理論はいわゆる比較生産費説であり、私はこれを大学で教えています。絶対生産費ではなく国内における相対価格の優位性に基づいて貿易が行われる、というものです。ヘクシャー-オリーン・モデルとして精緻化され、国と国の間の貿易構造の説明には有効ですが、なぜ完全特化しないのか、あるいは、産業内の貿易については説明できません。
戦後の経済学でデキシット教授とか、バグワティ教授が切り開いて、クルーグマン教授が完成してノーベル経済学賞を受賞したのが新貿易理論であり、規模の経済と製品差別化を導入して独占的競争貿易モデルを基にしています。産業間だけでなく産業内貿易についても説明力を有します。しかし、産業内ですべての企業が輸出を行うわけではありませんし、輸出が生産性の高い一部の企業だけであるという観察され定型化された事実を説明できません。
最後の第3世代の新々貿易理論では企業に関して生産性が異なるという異質性を許容し、そのことによって輸出する企業と輸出しない企業が混在する現実経済を説明できることになりました。本書では、この新々貿易理論について、やや単純化し、例えば、貿易相手国を1国だけとして2国モデルにするとか、労働賃金をニューメレール財とするとかです。おそらく、これらの単純化によって数式の展開がかなり簡素化されているような気がします。
そして、この理論展開を基にして、実際のデータを用いた実証分析がなされています。推計結果のパラメータの符号が理論値と反対だったり、統計的な有意性がなかったりして、少し疑問が残ったりはするのですが、こういうふうに実証するのかと勉強になりました。参考文献も私のような専門外のエコノミストには有り難かったです。
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