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2025年12月21日08:55

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塩田武士『踊りつかれて』(文藝春秋)を読みました。

塩田武士『踊りつかれて』(文藝春秋)を読みました。
著者は、ミステリも含めたエンタメ小説家であり、私は前作の『存在のすべてを』を含めて、ある程度はこの作者の作品を読んでいると自負しています。
簡単にストーリを振り返っておくと、後に裁判の被告となる瀬尾政夫が「枯葉」というハンドルネームで管理しているブログ「踊りつかれて」に、宣戦布告と題して、記事が投稿されます。すなわち、不倫報道がきっかっけでネットメディアやSNSで誹謗中傷を含めて批判され、自殺に追い込まれた令和のお笑い芸人の天童ショージ、さらに、週刊誌全盛の時代に、でっち上げの記事としつこい取材に誘発された暴言が原因で芸能界から姿を消した伝説の歌姫である歌手の奥田美月、この2人に対して、匿名性を隠れ蓑にネット上でバッシングした者やいいかげんな記事を書いた記者など93人の氏名はもちろん、年齢、住所、会社や学校、その他の個人情報がその罵詈雑言とともに、リストアップされた投稿です。
瀬尾政夫はリストアップされたうちの1人から名誉毀損で告発されて裁判となり、京都在住の30代の弁護士である久代奏が弁護を依頼されます。その久代奏が大雑把に主人公となって視点を提供しますが、別の視点が提供される部分もいっぱいあります。要するに、久代奏が弁護士として事件の全容を調査し、その中身が小説になっているわけです。瀬尾政夫は音楽プロデューサーであり、一時は奥田美月の担当もしていたことは当初から明らかでしたが、不明だった天童ショージとの関係を解明します。そして、壮絶だったのが後半の奥田美月のデビュー前の幼少期の生活です。このあたりは読んでいただくしかありません。
私が読んだ前作の『存在のすべてを』が、隠された人生のポジな要素満載であったのに対し、本作品は逆に隠されたネガな要素が満載です。
最後に、今月2025年12月10日からオーストラリアで16歳未満にSNSが禁止されたこともあって、私が学生諸君にSNSや動画配信についてお話していることを書いておしまいにします。すなわち、私は30-50年先にはSNSは現在の酒・タバコのようにみなされる可能性がある、と学生諸君にお話しています。私自身の人生は残り10年くらいで、これから先20年生きる自信がないので見届けることが出来ませんが、20歳前後の学生諸君であれば、50年先のSNSの末路も経験できると思います。
日本でも50年前には酒はもちろん、タバコもまったく抵抗なく喫煙していたような気がしますが、現時点でのタバコの扱いについては広く感じられている通りです。もちろん、お酒とタバコは明らかに違うとはいえ、現在のSNSはそういった見方がなされるようになる可能性が十分ある、というのが私の見立てです。まあ、何と申しましょうかで、雰囲気でご理解ください。

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