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2015年05月16日23:17

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三浦友理枝@戸塚さくらプラザホール

ずいぶん久しぶりのような気がするのは、このところお馴染みさんのコンサートが続いていたにもかかわらず、彼女のコンサートだけがなかったからだろう。
最後は4月のゲーテ座だったので、実際にはそんなに久しぶりというわけではない。
戸塚でリサイタルを開くと聞いたときは、また平日か、と思ったのだが、今回は土曜だった。

というわけで、三浦友理枝のリサイタルで戸塚まで行ってきた。

いや、これは平日だったとしても行かなければならない。
そのくらいレアでマニアックなプログラムなのだ。

01.ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女
02.ラヴェル:水の戯れ
03.シマノフスキ:メトープ Op.29
04.ドビュッシー:喜びの島
<休憩>
05.ショパン:スケルツォ 第1番 ロ短調 Op.20
06.ショパン:スケルツォ 第2番 変ロ短調 Op.31
07.ショパン:スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 Op.39
08.ショパン:スケルツォ 第4番 ホ長調 Op.54
<アンコール>
09.ショパン:ノクターン 第2番 変ホ長調 Op.9-2
10.ドビュッシー:ゴリウォーグのケークウォーク
11.ドビュッシー:月の光

デビュー10周年記念コンサート。
そうか、もう10年になるのか。確かに初めて聴いたのは10年前だ。

前半は印象派風の曲ばかりを集めた。
ドビュッシーもラヴェルも得意中の得意のレパートリー。
特に『水の戯れ』のキラキラしたタッチが素敵だ。これほど水の表現を巧みに描き出すピアニストはそうそういない。

今回の目玉のひとつがシマノフスキの『メトープ』再演。
3月が彼女にとっての初演だったが、かなりいい手応えを感じたようだ。
シマノフスキの曲は硬質なクリアーな音で弾かれるべきである。その中でもこの『メトープ』は最も美音を求められるのではないか。
まさに彼女のためにあるような曲である。
音の数の多さもハンパではなく、恐ろしいほど難しい曲なのだろうなと思う。シマノフスキの曲は「悪魔的に難しい」曲ばかりなわけだが、それを得意とする友理枝ちゃんって…。
なんにせよ彼女のような人気ピアニストがシマノフスキのようなあまり知られていない人の曲を積極的に取り上げるのはとても意味のあることだと思う。

この前半だけで音数ならばフルリサイタルぶんあったのではないだろうか。

後半はこの日のメイン、ショパンのスケルツォ全曲である。
このプログラムを「待ってました!」と思うのはやはりマニアックなのだと思う。ショパンの曲の中でもそう人気のある方ではない。バラード全曲をプログラムに乗せるのは珍しくないが(友理枝ちゃんもやっている)、同じ4曲でもスケルツォ全曲は珍しい。非常に技巧的だからというのもあるだろう。
デモーニッシュな曲なのであまり人気がないのかもしれない。しかしショパンの作曲技法の粋を集めた充実作だと思う。甘美なメロディーもたっぷりあるし。ところがショパン弾きと呼ばれるピアニストが弾くと意外におもしろくない演奏になってしまう。ショパンの曲としては難所なのかもしれない。
2番と3番はこのところよく取り上げているが、全曲演奏というのは初めて。
彼女の弾くスケルツォが悪いわけがない。
こうした曲調が思いのほか彼女に合うのだ。もちろん甘美なメロディーを歌うのも上手いのだが、激しく技巧的な曲を得意としている。いや、彼女自身は得意だなんて思っていないかもしれないが、とても上手く弾く。音の粒立ちが明確で、激しくても音色の純度が削がれず、迫力のあるしかしクリアーな低音を持っている。しかも曲に対して理知的にアプローチするので恣意的な解釈に陥らない。
聴き応えがあった。もちろん磨き抜かれた音色で奏でられる甘美なメロディーも溜息が出るほど美しく、激しさとのコントラストが見事。
ただ、終演後の話を聞くと、まだまだ満足できていないというふうだった。

アンコールはお馴染みの名曲集という趣。

というわけで重量級のリサイタルだった。
今まで彼女の演奏は100回近く聴いているわけだが、「あれ、今日はどうしたのかな?」という演奏に出くわしたことが一度もない。その演奏はいつも冴えているし、プログラムは個性的だ。
追いかけ甲斐があるというものである。

戸塚のさくらプラザホールはいいホールだった。
うちからだとちょっとした旅行だね。
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