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2015年03月22日22:20

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ノンヴィブラートの誘惑

これほどヘビロテしているのはBABYMETALの1stアルバム以来である。
長いこと探していたものに近かったのかもしれない。
探していたのはへヴィなサウンドに女性のクリアーなハイトーン・ヴォイスが乗るというもの。2009年あたりからゴシック・メタルを取っ掛かりに、いわゆる嬢メタルというあたりをふらふらと漁ってみた。ところが、ピタッとツボにはまるものはさほど多くなかった。
日本の女子メタルもなかなかのものではあるが、やはりメタルの様式に則ったもので、繰り返し聴かせる何かは弱いように思う。数回聴けばなんとなくわかった気にさせてしまうと言えばいいだろうか。

そんなときに出会ったのがBABYMETALで、その「なんじゃこりゃあ!」感はハンパではなかった。なのでへヴィ・サウンドにクリアーなハイトーンという要素を十分に満足していたにもかかわらず、そういう観点では捉えていなかった。それ以外のヴィジュアル的な可愛さやキレキレのダンスやミクスチャーな音楽的要素などからBABYMETALはBABYMETALで今までにないハイブリッドなものとして夢中にさせられたのだ。
メタルであってメタルでない、アイドルであってアイドルでない、しかしメタルでもありアイドルでもある、という禅問答のようなやりとりがいまだにネット上で議論されているなど、彼女たちの存在はやはり異質なのだ。
というわけでやはりBABYMETALは特別なものなのだと思う。少なくとも自分の中では。

探してみるとへヴィ・サウンドをバックにアイドルが歌うというのは意外にあるものだが、どれも中途半端な感は否めない。スタイルとしてへヴィ・サウンドを持ってきても、それはやはり借り物であり、黒蜜で蕎麦を食べるような違和感ばかりが先に立つ。
ただそうした試みは決して無駄ではなく、多くのアイデアが出て活発化することで新しいものが出てくる可能性もある。もちろんそこにはいいものを作ろうという意識が必要で、売れればいいというところからは何も生まれない。聴衆は意外にシビアでそういう匂いには敏感なものである。

そこで見つけたのがFruitPochette(フルーツポシェット、略してフルポシェ)で、リリースされたばかりのアルバム『The Crest Of Evil』が素晴らしいのだ。この20歳になったばかりの二人組については先日話題にしたので、詳しいことはそちらを参照していただきたい。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1939706260&owner_id=3696995

サウンドはメタルである。シンセサイザーも多用するモダンなサウンドだが、本質はエクストリームなメタル。その音だけでワクワクしてくるようなホンモノのメタル・サウンドなのだ。ギターやシンセで奏でられるリフがカッコいい。ドラムの手数が多く、もちろんツーバスの高速連打もたくさんある。メロディックなギター・ソロもたくさん用意されている。
そしてそこに乗る二人のヴォーカルなのだが、よく似た声をしていて、どちらも伸びのある良い声だ。ノンヴィブラートでよく通る。アイドルらしからぬボディのしっかりした声で、ファルセットをほとんど使わない。よく歌えている。
二年前のデビュー・ミニアルバムでは少女声な部分も多々あるので、大人になったのか、あるいは少女声を封印したのか、いずれにせよシンガーとして著しく成長している。
BABYMETALのカワイイの要素に抵抗のある向きにはすんなり受け入れられるのではないか。
楽曲のグレードも上がっている。ポップながらもどこか哀愁を漂わせるメロディーが心地よい。

アイドル+メタルなのだが、音を聴く限りこれは嬢メタルであろう。
BABYMETALの二番煎じではないことは明らかだ。

フルポシェの二人もSU-METALもノンヴィブラートである。
こうした声は心に突き刺さるような感じが心地いいのだ。
何故SU-METALがすでに海外でもメタルクイーンとまで呼ばれているか、その理由のひとつにハートに直接突き刺さってくるノンヴィブラート・ヴォイスというのが挙げられるだろう。
しかし、ネット上ではそのノンヴィブラートということに戸惑いを感じている人も少なくないようなのだ。
今や古楽界ではノンヴィブラートが常識化しているが、ポピュラー系ではまだまだ浸透していないのだろう。巧みなヴィブラートをかけることが歌唱技術の基本として捉えられている故に「ヴィブラートをかけられない」と誤解されているうえに、「ノンヴィブラートは下手」と思っている人もいるようだ。
確かに綺麗なヴィブラートをかけるの難しい。世の中には汚いヴィブラートというのも存在するわけで、ポピュラー系では少なくない。実力派シンガーと呼ばれている人でも実はヴィブラートはそんなに綺麗ではないという人も多いのだ。
だからといってノンヴィブラートが簡単なわけではない。もともと声は声帯を震わせて出すものなので、どうしてもいくらかの揺らぎ(これもヴィブラート)が生じてしまう。それを抑えるのは意外に大変。しかも大きな声で歌うとなるとなおさらである。さらにヴィブラートをかけないぶん音程の正確さが求められる。その代わりしっかり歌うことができれば何物にも替え難い説得力を持つ。
ことにクリアーな声質のハイトーンにはノンヴィブラートが似合うと思う。SU-METALもフルポシェの二人も可愛らしい声なのでさらに似合っている。しかもメタル・サウンドとの相性もいい。ノンヴィブラートのひとつの特徴としての清廉さ、これも重要であろう。

というわけで私の中ではフルポシェの二人はかなり評価が高い。
声質が似ているということがプラスなのかマイナスなのか人によって判断が異なるだろう。聴き分けられないもどかしさはあるだろうが、声が似ているぶんハーモニーやユニゾンが綺麗に決まる。

ダークな世界観で、恋愛っぽい歌詞が全くないというのも支持する理由のひとつ。
いささかこの年になると等身大の恋愛模様と言われてもねえ…。そういうことを歌う人が多いだけに食傷気味ではあるのだ。しかもバックはメタルだし。
なのでフルポシェの世界は良い。ちなみにBABYMETALにも恋愛の歌はない。

フルポシェの認知度はまだまだ低い。
しかし女子によるへヴィ・ロックというトレンドに上手く乗れればブレイクするのではないだろうか。
プロモーションに手間暇かけずともブレイクできることはBABYMETALが証明した。いいものが売れるとは限らないし、売れるものがいいものだとも限らないが、いいものが売れないわけではない。
うまくプロモーションをしてもらいたいものだと思う。

写真は2013年7月のデビューミニアルバム『疾風迅雷』。試行錯誤が感じられるし、歌唱にもまだ迷いがあるようだ。それでも聴き応えのあるものに仕上がっている。すでにこの時点でなかなかのグレードだったのだ。それにしてもアイドルとは思えないジャケットだねえ。。。
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