出たばかりの新譜とすでに新譜ではないがずっと気になっていたCDをゲットしてきた。
いずれもきちんと聴くのは初めての演奏家である。
まずはヴァイオリニスト寺下真理子の『Ave Maria』。
メジャー・デビューという触れ込みだが、すでに1枚CDをリリースしている。
実は三浦友理枝や上野由恵と同じ事務所の人なので名前だけは知っていた。
今回のアルバムは映画音楽やミュージカル曲や自作曲までも含めた小品集である。こうしたアルバムはイージーリスニング的になりがちというリスクが大きい。選曲の妙味がなければ聴かれることもないだろう。もっとも、彼女の場合はヴィジュアル的なアドバンテージはあるかもしれないが。
という少々ネガティヴな先入観を持って聴いたのだが、意外なほど芯の太い音に驚いた。高音も線の細さを感じさせない。歌心はたっぷりなのだが、なんだかキップのいい演奏という印象で、妙な言い方だが胸のすくような爽快さを感じる。
純粋なヴァイオリン用の曲というのは少なく、馴染みのメロディーが多いわりには捻りが効いている。自作曲もニューエイジっぽい曲調だが悪くない。
クロスオーバー的な選曲になっているが、ぐっとクラシックに引き寄せて演奏しているようで、統一感がある。流すような聴き方をさせないような演奏に引き込む力があるようだ。高音もさることながら、中低音が充実しているので、重心が低く見た目によらず硬派な演奏だ。
そう思うと、この人もフォトジェニックであることがかえってハンディになってしまうタイプかもしれない。
3月3日のひな祭りガラコンサート「雛音遊び」に出演する。
また、3月18日には19時よりタワレコ渋谷にてミニコンサート&サイン会が予定されている。
http://mariko-terashita.com/index.html
さて、次にチェリストの水野由紀の2枚目のアルバム。
この人もフォトジェニックである。
実は淑女すぎる女子高生のお気に入りのチェリストの一人なのだ(もう一人は遠藤真理)。というわけで、聴いてみたいと思っていたのだが、なかなかCDを入手できなかった。
アルバムはのっけからシューベルトのアルペジオーネ・ソナタで始まる。チェロの重要なレパートリーなので録音も数多い。その中で存在感を主張するということは容易なことではあるまい。なので並み居る巨匠たちと比べてしまうのは酷である。
しかし、この演奏の若々しさや溌剌さというものは聴いていて心地よいものであるし、いい意味での青さというものが個性となっている。清潔感のある音色の凛としたたたずまいはとても好ましく思えるのだ。
決して構えの大きな演奏ではないが、ある意味でこの曲の本質をついたものなのではないかという気がしないでもない。この曲はシューベルト27歳のときの作品である。その死があまりにも早すぎたために、晩年の作品といえども青年期のものなのである。ということは、こうしたサラッとした質感の演奏があってもいいのではないか。だとすればこの演奏の存在価値は十分にあるように思う。
カップリングのショパンやポッパーといったところもなかなか聴かせる。
松本蘭(vn)、村松亜紀(pf)とトリオを組んでベートーヴェンとメンデルスゾーンを録音したCDもリリースされ、評判がいいようだ。
ジャケットではややキツめな印象だが、自身のtwitterなどにUPされた写真を見ると、もっと少女顔でおっとりした雰囲気のように思える。
http://www.1002.co.jp/yukimizuno/
それにしても最近は綺麗な人が多い。
ただアイドル的に扱われるなどそれはそれで苦労も多いのだろうと想像する。
それでも注目されやすいというメリットはあるだろう。ツカミはオッケーの後に問われるのは音楽なわけだ。音楽でガチで勝負すれば自然に客層は変わってくる。もちろん、チヤホヤされて勘違いして迷走してしまう人も少なくはないのだろう。
若い演奏家を応援する、これも音楽を聴く楽しみのひとつ。
CDよりも実演の方がずっといい。そんな演奏家に出会えたら幸せだ。
ログインしてコメントを確認・投稿する