へヴィメタルという言葉を最初に使用したのはアメリカのブルー・オイスター・カルトだと言われている。まだへヴィメタルという音楽が確立していない時期の重要バンドであることは間違いないだろうが、やはり始祖としてはイギリスのブラック・サバスあたりに落ち着くのだろう。
ただ、ブラック・サバスにしてもブルー・オイスター・カルトにしてもその音楽をへヴィメタルと呼ぶのは違うように思うのだ。
へヴィメタルとはこういうものだと見せつけたのはジューダス・プリーストの『ブリティッシュ・スティール』(1980年)というアルバムではなかったかと思う。
それまでの情緒的なギター・ソロを排し、全編リフのみで作ってしまったアルバム。今聴くとメロディーはずいぶんポップだが、ソリッドなサウンドは当時としてはずいぶん斬新なものだったろうと思う。
近代へヴィメタルはここから始まったと言ってもいいのではないだろうか。
その後英国でニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタルというムーヴメントが起こり、アイアン・メイデンらが台頭し、メタルは全世界に広がっていった。
アメリカに飛び火したものはやがてメタリカやスレイヤーといった怪物を生み出す。
そして、メタルはその独特の様式美ゆえに、常に進化を求められるわけでなく、より細分化することで世界中に浸透していった。
今や○○メタルといったジャンルは数えきれないほどある。
その中で異色なのがゴシック・メタルというもので、たいてい女性ヴォーカルをフロントに立てている。
サウンドもキーボードやオーケストラをフィーチャーしたシンフォニックなもので、そこに清廉な(天使系だったり声楽系だったり)ヴォーカルが乗る。
へヴィなサウンドに女性ヴォーカルというのはありそうでなかった形態で、これは北欧を中心に発展している。
へヴィメタルという音楽は、高速で重いギターのリフと、ハイトーンのヴォーカル、それに手数足数の多いドラム、というものが含まれていることが多い。
ハードロックをより重く特化させたものとも言える。
あるいは、エレクトロニクスの発展に逆らうように人力でどこまでできるかを追求した技巧的な音楽とも言える。
ハイトーンのヴォーカルはデス・メタルあたりだと俗にデス・ヴォイスと言われるようなディストーション・ヴォイス(低い唸り声のようなもの、グロウルともスクリームとも言われる)に替わられることになる。
なのでメタル界は百花繚乱なのである。
メジャーではないかもしれないが熱心なファンは多い。
日本にもたくさんバンドがあるだろうし、女子だけのメタル・バンドも少なくない。
しかし、たいていは「へヴィ・メタルという基本フォーマット」から逸脱したものではない。
これは決して悪い意味ではなく、逸脱するとメタルではないということになってしまうので、当然のことでもある。
ということで、へヴィメタルとアイドルを融合させたBABYMETALは「かつてないもの」として世界中から注目を集めたのだと思う。
美形の女性ヴォーカルのいるバンドはたくさんあるが、キャワユイ少女たちをフロントに立てたものなどなかったに違いない。
それはへヴィメタルというものに対する固定観念を覆すような衝撃だったのだと思う。
音楽的にはメタルへのリスペクトを感じさせつつもパロディとも思えるような「何でもあり」である。アルバム1枚で様々なメタルのバリエーションを堪能することができる。レゲエっぽい展開の曲があるかと思えば、イントロが7拍子という曲もある。しかも全ての曲のメロディーがキャッチーで、頭の中で鳴り止まぬほどである。油断しているとつい口ずさんでしまう。
メタルもミクスチャー化が進み、もうこれ以上新しいものは生まれないだろうという状況の中で現れたのがBABYMETALだったのだ。
これがあったか、というよりは、こんなのありかよ、という驚きの方が大きかったのだろう。
キワモノと片付けられてしまうリスクもあったわけだが、それを回避できたのは楽曲の良さとパフォーマンスの素晴らしさによるのだろう。
おそらく動画でなければその魅力を十分に伝えることはできなかったろうから、やはり今の時代だからこそということなのだと思う。音楽だけでなくヴィジュアル面も重要な時代なのである。
ちなみに、メンバーはSU-METAL(中元すず香、16歳)、YUIMETAL(水野由結、14歳)、MOAMETAL(菊地最愛、14歳)の三人。
SU-METALがリード・ヴォーカルでノン・ヴィブラートの素晴らしい歌唱を聴かせる。YUIMETALとMOAMETALは合いの手担当。二人のヴォーカルをフィーチャーした楽曲も用意されている。そしてこの二人のキレのあるダンスも見ものなのだが、それは映像作品を見るしかない。
もし、彼女たちがすでにアルバムを何枚も出し、映像作品もたくさんリリースしていたとしたら、おそらく買いまくっていたことだろう。買いまくれる金銭的余裕があるかどうかはともかく。
しかしね、やはり女子が強いね。
いいことだ。
カワイイは正義なのだ。
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