都心のきちんとしたホールでのコンサートというのはずいぶん久しぶりだ。
紀尾井ホールでのソプラノの幸田浩子のリサイタル。
前回聴いたのは一昨年の10月、同じ紀尾井ホール。
今回は日本の歌と生誕150周年にちなんだリヒャルト・シュトラウスの歌曲。
幸田浩子:ソプラノ
藤満健:ピアノ
プログラムは以下の通り。カッコ内は作詞者。
01.山田耕筰(北原白秋):この道
02.山田耕筰(三木露風):唄
03.山田耕筰(北原白秋):からたちの花
04.山田耕筰(大木惇夫):ばらの花に心をこめて
05.山田耕筰(三木露風):たたえよ、しらべよ、歌いつれよ
06.成田為三(林古渓):浜辺の歌
07.弘田龍太郎(鹿島鳴秋):浜千鳥
08.川口耕平(河野進):よかった
09.菅野祥子(菅野祥子):春なのに
10.武満徹(武満徹):小さな空
11.武満徹(武満徹):翼
<休憩>
12.リヒャルト・シュトラウス:セレナーデ 作品17-2
13.リヒャルト・シュトラウス:あなたは私の心の王冠 作品21-2
14.リヒャルト・シュトラウス:解放された心 作品39-4
15.リヒャルト・シュトラウス:万霊節 作品10-8
16.リヒャルト・シュトラウス:あした 作品27-4
17.リヒャルト・シュトラウス:かわらぬもの 作品69-3
18.リヒャルト・シュトラウス:アモール 作品68-5
19.レハール:ヴィリアの歌(オペレッタ『メリー・ウィドウ』より)
20.オスカー・シュトラウス:扉を開けて(オペレッタ『ワルツの夢』より)
<アンコール>
21.ジーツィンスキー:ウィーン、わが夢の街
22.伝承歌:アメイジング・グレイス
私は声楽家が日本の歌を歌うことをあまり好まない。
朗々と歌われ過ぎてしまうことと、言葉が聴き取りにくいことが好まない理由である。しかし、彼女が歌うと素直に受け入れられる。
もともと清楚な声であるし、音域も彼女にとっては楽に出せる範囲だし、発音が明瞭で言葉を聴き取りやすい。
高度な技術と豊かな表現力がなくてはできないことなのだけれど、結果として素朴な歌になっている。その素朴さというのがこうした歌には大事なのではないかという気がする。押しつけがましくなく、そっと心に染み入るような歌だ。
菅野祥子(かんの・しょうこ)による『春なのに』はいい曲だ。陸前高田出身の作曲者がウィーンにて震災を知り故郷を思って作った曲。幸田さんの同級生なのだそうだ。いい意味でポップなメロディーが心を打つ。今日のコンサートで1曲を選ぶとしたらこれだろう。
そして武満。『小さな空』は郷愁を誘う。
後半はシュトラウスの歌曲を中心に。
シュトラウスの歌曲は後期ロマン派において重要なレパートリー。同時代のライバル(?)マーラーがソプラノのための歌曲をほとんど書いていないので、重要性が高い。
歌曲においては傲岸不遜さが全く出ていないので親しみやすい。俺様的な規模の大きな作品よりも、歌曲や室内楽の方がシュトラウスらしくなくて良い。
『解放された心』では終盤にミスがあり、もう一度歌ってくれた。再演の方はかなりテンションが高かった。凄みがあったね。
有名な『万霊節』も良かったが、『かわらぬもの』と『アモール』のユーモラスな表情がいい。
終盤の2曲のアリアも彼女のチャーミングな美声を生かした歌唱で酔わせる。
アンコールで大好きな『ウィーン、わが夢の街』を歌ってくれたのが嬉しい。
『アメイジング・グレイス』も気合い入っていたなあ。
それにしても可憐な声である。
容姿もまたチャーミング。
サイン会でも一人一人丁寧に接している。
そりゃあ人気出るよな。
ひとつ残念だったのは拍手のタイミングが早すぎること。
じっくり余韻を楽しんでから拍手をしてもいいだろうと思うのだが、なにゆえそう急ぐのだ?
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