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2012年08月25日23:34

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三浦友理枝@フィリア・ホール

5年前の同じ日、8月25日(土)、三浦友理枝嬢は同じフィリア・ホールでリサイタルを開いた。
われわれが彼女のフル・リサイタルを聴いたのはそれが最初だった。
あのときも同じように「シマノフスキすごかったですね」と言ったような気がする。

感慨深いものがあるな。

さて、今日も彼女らしいプログラム。
先週のプレ・トークで予習もバッチリ。話題に上った部分はね。
さすがにルーセルのピアノ曲のCDは持っていない。。。
シマノフスキ好きとしては当然ピアノ曲は全曲CDで持ってるけどね。
もちろんラヴェルもね。

さて、いかにも友理枝ちゃんらしいプログラムは以下の通り。

01.ルーセル:組曲『田舎風』作品5より
   ・水のほとりの踊り
   ・祭りからの帰り道
02.ラヴェル:ハイドンの名によるメヌエット
03.ラヴェル:鏡
   ・蛾
   ・悲しい鳥たち
   ・海原の小舟
   ・道化師の朝の歌
   ・鐘の谷
<休憩>
04.シマノフスキ:9つの前奏曲集 作品1より、第1曲から第5曲
05.シマノフスキ:ピアノ・ソナタ第1番ハ短調 作品8
<アンコール>
06.ドビュッシー:半音階のために(練習曲集より)
07.モンポウ:内なる印象より、悲しい鳥
08.ドビュッシー:ミンストレル(前奏曲集第1巻より)

すでに彼女をアイドル・ピアニストと思っている人はいないと思うが、それにしても骨っぽいプログラムを組む。しかもこれほど有名曲を入れないプログラムも珍しい。この中ではラヴェルの曲は知られている方だが、ラヴェルの中としてはそれほど有名というわけではないのではないか。せいぜい『道化師の朝の歌』が単独で取り上げられるくらいだろう。
それにしても彼女のシマノフスキ愛も筋金入りだ。ことあるごとにシマノフスキ作品を取り上げている。

ちなみに今日取り上げた三人の作曲家はみんな同じ1937年に亡くなっている。

ルーセルのシンフォニーは好きである。しかし、ピアノ曲なんて聴いたことがなかった。
印象派っぽいところもあるが、なんとなく神秘的な曲。色彩感覚が豊かに響いていたのは彼女のおかげかもしれない。
ルーセルはリズム処理にひと癖あるね

ラヴェルの『ハイドンの名によるメヌエット』はやはりわかったようなわかんないような…。HAYDNの音を聴き取れるかというと、難しいね。そんなこと考えなくてもいい曲なんだけどね。

『鏡』は5曲からなる組曲。
4曲目『道化師の朝の歌』は3月の東京文化会館以来の再演か。
彼女の資質にラヴェルが合うのは疑いようがない。ラヴェルを弾くには音色が美しくなければならない。しかし美しい音色で弾くのが難しい。それゆえ、ラヴェルを好むピアニストは多いにもかかわらず、満足できる演奏は少ない。ことに『鏡』は難しい。上手く聴かせるのが難しい曲だ。
今、彼女は最も信頼できるラヴェル弾きである。
どの曲もよかったが、敢えて挙げるなら、3曲目の『海原の小舟』か。彼女は水の表現が巧みだね。摩訶不思議な2曲目『悲しげな鳥たち』も上手い。4曲目『道化師の朝の歌』はさすがの盛り上がりを見せる。

休憩を挟んで後半はシマノフスキ。
記念すべき作品1の前奏曲集から5曲。後期ロマン派の耽美の世界。シマノフスキの初期作品は濃厚なロマンティシズムの世界。メロディーが綺麗で聴きやすい。

大曲ソナタ第1番もその流れの曲。
キッチリとした構成の立派なソナタだが、すでにシマノフスキらしい不思議な響きが覗いている。後の民族主義的っぽい部分もあって、生涯で作風を大胆に変えていった作曲家だが、根っこはひとつだったのかなあなどということも思う。
こういう理論的に書かれた曲に対しては彼女の理知的なアプローチが極めて有効。ことに終楽章のフーガが見事。クールな中にも迸るパッションが感じられる演奏だった。乗りに乗っていたという感じで終盤に向けての盛り上がりはスリリングだった。
プレ・トークで「本番にとっておく」と言っていたチャーミングな第3楽章、もったいぶっただけあって飛び切りキュートに弾いていた。低音の響きに悲劇的な兆しが感じられたのは彼女の解釈なのだろう。
プレ・トークで披露した第2楽章も今日は思い入れたっぷりの演奏だった。
後の2番や3番ほどではないにしろ、この曲も超絶技巧を要求される難曲。こういうのを得意にしちゃうんだからね。個性的なピアニストだよ。

アンコールはドビュッシーとモンポウ。
モンポウは来週のオペラシティの予告編。
最後の『ミンストレル』は演奏もチャーミングだったが、どうしようかな、弾こうかな、どうしようかな、ええい弾いちゃえ、というような始まりかたが可愛らしかった。

彼女の演奏は聴いていてワクワクしてくるんだよね。
次はどんなプログラムを組むのかという楽しみもある。こんな曲もやるのか、とうとうこれをやるのか、そんなふうにもう何年も彼女に振り回されている。

それにしても未だに美少女っぽい雰囲気だよな。

さて、次は晩夏のフェスティバル。オペラシティのモンポウ祭りだ。
(じつはその前にちょろっと明日があるんだけど…)
その次はいよいよせんくら、と。
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