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2012年08月04日22:19

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辻村深月サイン会@紀伊国屋書店本店

最近のお気に入りの作家、辻村深月(つじむら・みづき)が直木賞を取った。
受賞のニュースを聞いてたぬ〜と喜んだものだが、今までそのニュースを話題にしなかったのは受賞作『鍵のない夢を見る』を読んでいなかったからだ。
受賞のニュースが流れたとたんに書店から本が消えた。受賞効果は大きいのだな、と半ば呆れてしまう。まあ、本が売れるというのはいいことだが。
で、増刷分が手に入ったのが先週末。で、すぐに読んでしまった。
地方都市で暮らす五人の女性の閉塞感を描いた短編集。大胆な仕掛けこそないが、小さなひねりが効いていて、よくできた作品だと思う。緻密な作品だというふうにも思う。

入手したのが遅れて良かったこともある。
新宿の紀伊國屋書店本店でサイン会があり、その整理券をゲットできたのだ。
というわけで行ってきた。
売れっ子作家さん直々にサインをいただくというのも緊張する。
(ミュージシャンには馴れっこなのにね)

『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』と『オーダーメイド殺人クラブ』で続けて直木賞候補になり、今回三度目での受賞だった。
肩入れしている作家だけに嬉しい。
さらに売れっ子になって作品の質が落ちなければいいが、その心配は無用のような気がする。

ひとりひとりに対して丁寧に応対していた。
これっぽっちも偉そうな態度ではなかった。
受賞のお祝いを言って、いつも新刊を楽しみにしている旨を伝えた。
「ほかにも読んでくださっているんですね。どれがいちばんいいと思いますか?」と訊かれてしまった。そんな展開は全く考えていなかった。考える前に口にしていたのは『名前探しの放課後』だった。どんでん返しが衝撃的でした、と。
「あの作品は賛否両論で、だから気に入ってもらえるのはとても嬉しい」と笑顔で言っていた。
真摯な対応にますますファンになったよ。
サインをしておしまいだと思っていたから、驚いてしまったよ。確かに作家にとってファンの声を直に聞くいい機会である。それにしてもフレンドリーな対応だった。

肩入れしていた作家が直木賞を取った。数年前にもそんなことがあった。
それなのに私はその作家に対する興味をすっかり失ってしまった。原因はわからない。ただ合わなくなってしまったとしか言いようがない。作品の中にさえ感じてしまう「直木賞作家」という香りに嫌気がさしてしまったのかもしれない。

そうならなければいいと思うが、心配はしていない。
かつて肩入れしていた作家の受賞作は力作であり問題作だった。いくつもの瑕はあるが、それを帳消しにするくらいの力のある作品だった。
辻村深月の『鍵のない夢を見る』は違う。小説の上手さで読ませる。さりげない日常を切り取り、そこに非日常の事件を盛り込む。敢えて言うなら地味な作品だ。その代わり、リアリティがある。
大仕掛けとどんでん返しで魅了する初期作品はやはり魅力的だが、こういう作品もいい。そして、作風が変わってきたとはいえ、作者の視点はずっとぶれていない。

湊かなえと並んで、今最も新刊が出るのが楽しみな作家である。

今は女流作家が熱いね。
というか、今の時代は女性の方がパワフルだ。
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