mixiユーザー(id:3696995)

2011年09月05日22:26

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運命と7番

CD時代になってから、初めて自主的にこの曲のCDを買ったかもしれない。
ベートーヴェンの『運命』である。
LP時代にはカルロス・クライバー&ウィーン・フィルの盤を持っていた。これはいまだに名演だと思うが、逆にこれさえあればいいやと思えてしまうような代物だった。
これはグラモフォンBOXにも含まれていて、久々に聴いてもその印象は変わらなかった。
シンフォニーの全集でも買わない限り、『運命』のCDが増えることはないだろう、と思っていた。
よっぽどおもしろい演奏が現れないかぎり…。

で、あったのだ、その「よっぽどおもしろい演奏」が。

一昨日の日記でも話題にしたグスターボ・ドゥダメルのデビュー盤である。
グラモフォンBOXに入っていたマーラーの5番のCDを聴いて、ひっくり返って、それで土曜に彼のCDを買い漁ったのだ。欲しいと思ったらいてもたってもいられない性格なので、オンラインなんて悠長なことは言っていられない。店舗在庫をネットで調べて、タワレコをハシゴしたよ…。

オーケストラはシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ。最近の時流に逆らう大編成のベートーヴェンだ。
まるでライヴ盤のような熱気。
フレージングの切り方に特徴があるが、違和感はない。歌うところは歌い、それでも引き締まっているという印象。
なんだかとんでもないものが迫ってくるような感覚とでも言えばいいだろうか。
とてもエキサイティングな演奏だ。終楽章の輝かしい大団円のなんと爽快なこと。起承転結の綺麗な構造を持つこの交響曲に対して非常に説得力のある演奏だったと思う。

ところが、もっとすごいのはカップリングの7番だった。
全編ダンス音楽とも言える異色のシンフォニー。ダンス音楽ならラテンの得意とするところ、という読みはやはり当たっていた。
思わず体が動いてしまう。まさしくグルーヴィー。音のうねりが自然なグルーヴを生み出している。このノリが気持ちいい。ことに第4楽章のスピード感は圧巻である。これは実演で聴いたら盛り上がるだろうし、その場に立会いたいという気持ちが抑えきれない。
やりたい放題なようで、きっちりと根っこは押さえている。だから「ベートーヴェンの7番」のスキームは崩れない。
優雅で上品な7番もいいが、豪快で熱狂的な7番も悪くない。
力技、と思いきや、繊細さにも事欠かない。メロディーの歌い回しが上手い。本質的にカンタービレの持ち主なのだと思う。

もちろん熱さの要因はオーケストラにもある。
実に生命力に溢れた音を出す。それにユースとは思えないくらいに上手い。
ドゥダメルの棒に応えて熱く燃えている。
音楽というものの根源的な魅力を感じさせてくれる。上手いだけではない何か、その「Somethin' Else」をわれわれは求めているのではないか。

しかし、こういう演奏を嫌う人も間違いなくいると思う。しかも、そう少なくはないだろう。
それはもったいないことだと思う。

もちろん、新しければいい、おもしろければいい、ということではない。
ドゥダメルは確かにおもしろい。
おもしろいのだが異端という感じはしない。ネタが割れてしまったらおもしろみがなくなるというものではない。いや、ネタが割れてからの方がむしろおもしろみを増す。
八方破れのようで実はきっちり計算されているのだろう。

この人の実演は見てみたいと思う。
多少高価であってもこの音楽は体験する価値がありそうだ。
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