いつもは火曜日のオペラシティ主催の「B→C」だが、今回は金曜という変則開催。
もともとは3/22予定だったのだが、震災の影響で変更になったというわけ。チケットを手配し忘れていて諦めていたのだが、日程変更に伴いキャンセルが出たようでゲットすることができた。
「B→C」、ビー・トゥー・シーとは「Bach To Contemporary」ということで、バッハと現代曲が組み込まれてさえいればあとは奏者が自由にプログラミングできるというリサイタル。自己表現の場とするか、チャレンジの場と捉えるか、それは人それぞれだろうが、奏者の本音の出るリサイタルということは言えると思う。
さて、今回は藤井はるかというNY在住の打楽器奏者。
日本でのリサイタルは初めてということになるらしい。
テーマは「作曲家と新作を創り上げる」「過去に書かれた秀作を取り上げる」「価値ある邦人作品を紹介する」というのが三本柱になっているようだ。
当然現代曲が多くなる。というか、バッハ以外は現代曲である。しかも、世界初演・日本初演といった曲も含まれている。
01.ライアン・ストレーバー:サイレント・シスター(2007、日本初演)
02.湯浅譲二:始源への眼差 第4番〜打楽器とピアノのための
(2011、藤井はるか委嘱作品、世界初演)
03.カール・シメル:スヌード・ザ・プルトルーン(2009、日本初演)
<休憩>
04.内藤明美:森の記憶(2000)
05.キャロライン・マロニー:パーカッションとピアノのための『トゥモロー・シャープンド』
(2011、藤井はるか委嘱作品、世界初演)
06.石井眞木:サーティーン・ドラムス(1985)
07.バッハ(藤井はるか編):羊は安らかに草を食み(カンタータ第208番より)
藤井はるか:パーカッション
エリック・ヒューブナー:ピアノ(02、05)
ジョナサン・ハミル:カズー、ほか(03)
マリンバ、ヴァイブラフォンといった音階の出る楽器を使うのが01、02、04、05となっている。(バッハは除く)
これらの曲は現代音楽であることは間違いないのだが、意外なほど聴きやすい。不毛な現代音楽でないことに安堵する。
ことに委嘱作品の世界初演に立ち会えたというのは貴重である。
『スヌード・ザ・プルトルーン』は最高だった。
スヌードというのは七面鳥のくちばしから垂れたトサカのような部分のことで、曲名は「怠け者のだらりんスヌード」というような意味になるらしい。
現代音楽でこんなに笑えていいのか、というような痛快な曲。
ビール瓶やおもちゃまでが楽器として扱われる。
カズーとともにそうした楽器を操るジョナサン・ハミルという人が芸達者で、彼のパフォーマンスがより愉快にさせたのだと思う。
藤井さんのカラフルな打楽器群もとても素晴らしい。
『サーティーン・ドラムス』はその名の通り、いわゆる太鼓系の楽器を13個使う作品。楽器の選択は奏者に委ねられているらしい。
打楽器のダイナミックさに溢れた曲だ。11分間のドラム・ソロと言えば想像しやすいだろうか。
目も耳も釘付けである。息をするのを忘れてしまうほど、集中して聴いてしまう。
ひとつのリズムパターンが変容し解体されていく様は圧巻。相当な技巧を必要とされる難曲だと思う。
バスドラムのキックが強烈。最前列で聴いていたので、音圧に圧倒された。
素晴らしい力演だった。
で、アンコール的な位置づけで置かれたのがバッハだった。
ヴァイブラフォンのソロによるチャーミングなバッハでクールダウン。
大変結構なリサイタルでした。
パーカッションってなんだかスピリチュアルな魅力があるような気がする。
人類発祥の地と言われるアフリカにつながるのだろうか。
おそらく人類が初めて使った楽器というのは打楽器だったのだろう。
そんなことを思わされたリサイタルでもあった。
写真は女性リコーダー奏者と組んだアルバム『虚空』。日本と中国の現代作品ということらしい。ジョン・ケージの『龍安寺』という曲も含まれている。
もちろん、サインもいただいてきた。
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