浅田次郎の『一刀斎夢録』を読んだ。
新選組三番隊長で屈指の剣の使い手である斎藤一の話である。
明治から大正に変わった時代の境目に、近衛兵の梶原中尉に齢七十を超えた斎藤一が昔語りをするという内容だ。
新選組に興味はあっても日本史には明るくない私にはどこまでが史実でどこまでが創作なのかが判然としない。たとえば、坂本龍馬の暗殺だが、左利きなる者の仕業とというところから、作者は「暗殺者は斎藤一」説を採っている。読んでいると、さもありなんと思えてしまう。
筆の冴えはさすがである。
京の新選組から、最後は西南の役まで、さまざまなエピソード(多くは歴史の闇か)を散りばめながら語られていく。
ネタバレになってしまうので、多くを書くことはしないが、最後に慟哭のエピソードが綴られる。
京を落ちた後の新選組隊士の「その後」についても語られる。
幕末に咲いた徒花である新選組を俯瞰するにもちょうどいい。なにより、斎藤一という謎の多い人物が明瞭に描かれているという点が素晴らしい。剣にのみ生きた男の生き様はあまりにも凄みがあった。
新選組を題材にした小説は数多いが、その中でも白眉と言えよう。
しかし、この本には美麗な女性は出てこない。というわけで、女の子好きは要注意である。
もっとも、男たちの凄絶な生き様に「萌え」ないようでは、いかがなものかと思うが、大きな声で言うのはやめておこう。
久々に夢中になって本を読んだぞ、と。
本を読むのは昼休みと帰りの通勤時間と決めている。そうでないと、いくら本があっても足りないからだ。
というわけで、今は小野不由美の『ゴーストハント』シリーズを読み始めている。大幅にリライトされた版が刊行され始めたのだ。『屍鬼』や『十二国記』シリーズで知られる作者のもうひとつの代表作である。
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