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2011年02月04日23:12

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カンディンスキーと青騎士展@三菱一号館美術館

会期ギリギリでようやく観に行くことができた。休日前の夜の美術館は狙い目である。
丸の内の三菱一号館美術館にて開催されている「カンディンスキーと青騎士展」である。
青騎士とは20世紀初頭に表現主義の画家たちのサークルのこと。カンディンスキーとフランツ・マルクが中心になっていたので、「カンディンスキーと青騎士展」というタイトルには若干の違和感を感じる。と思うのは私がマルクのファンだからなのだろう。
まあ、平たく言ってしまえば、新しい表現手段を求めた画家たちが集まったということだ。画家たちでなく、シェーンベルクら音楽家も集まっていたらしい。

カンディンスキーは抽象画になる前のものもいいね。カラフルで音楽的な画面だと思う。
ただ、感動するとか心を揺さぶられるとかそういうものとは無縁の世界でもある。確かに新しい表現だったとは思うが、それは観る者に対して感じ方の変化を強要する(もっと穏やかに言うなら、促す)ものだとも言える。観ていて楽しいが、心に残るものは少ない。これはカンディンスキーのみならず、抽象画の持つ宿命のようなものかもしれない。とはいえ、カンディンスキーの絵は好きである。

カンディンスキーも「表現者としては凄いが、人間としては…」という人だったのかもしれない。
よきパートナーでもあり、志を同じくする画家でもあったガブリエレ・ミュンターを平気で捨ててしまうのだ。しかも彼はミュンターと知り合う前にすでに結婚していたという。
まあ、ゴーギャンほどではないが…。
カンディンスキーとの別離の後、ミュンターはほとんど絵筆を執らなくなってしまうのだから、美術史上の損失をもたらした罪は大きい。
彼女は女流画家というだけでなくその作品で魅了する。表現主義的とはいえ、優しい目線の絵が多い。

さて、ご贔屓のマルクだが、彼は第一次大戦で従軍しフランスで戦死している。もし彼が大成していたらと思うと残念でならない。戦死というのがあまりにもやりきれない。
キュビスム的な技法を用いて動物の絵を描いた。写実的ではないが、そこに描かれた動物たちのなんと生き生きとしていることか。代表作の『虎』(写真左)は孤高を感じさせる緊張感に溢れている。キュビスム的な空間の切り取り方がカッコいい。一度絵の前に立ってしまうと、立ち去り難い。今日も長いこと眺めてしまった。
『牛、黄‐赤‐緑』(写真右)は穏やかな雰囲気の傑作だ。たぬ〜がたいそう気に入ったようである。
実はマルクの作品をまとめて観られる機会は少ない。日本では彼を中心にした展覧会が開かれたことはないのではないか。日本で評価されていない画家の最もたるものかもしれない。

「カンディンスキーと青騎士展」というわりにはカンディンスキーに集中しすぎてないか、という気がした。マルクの扱いがあまりにも軽すぎる。そこが残念だった。

今回の展示作品はミュンヘンのレンバッハハウス美術館の収蔵作品である。
向こうにいた頃に何度か出かけたことがある。マルクを気に入ったのもこの美術館で観てからだ。
多くの作品が「お久しぶり」だったのだが、ほとんどの作品を覚えていない。とはいえ、マルクの作品には懐かしさを感じた。『虎』との再会は嬉しい。私にとってレンバッハハウスに行くということはマルクの作品を観に行くということと同じだったのだろう。異国の地でつらい思いばかりをしたあの時代、マルクの描いた動物たちが心の拠りどころになってくれていたのかもしれなかった。
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