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2010年11月29日23:52

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平野花子(ハープ)@紀尾井ホール

消化不良気味というか不完全燃焼気味というか、そのようなコンサートが二日間続いたので、三日目はスッキリと終わって欲しいというのが切なる希望だった。
もっとも、二日間ともお目当ての奏者は素晴らしいパフォーマンスだったので、行った意味は十分あったのだが…。

紀尾井のニュー・アーティスト・シリーズという新進の演奏家のリサイタルである。現在活躍している演奏家でこのリサイタルを経験している人も多い。
完全招待制、つまり無料である。公募なのだが、外れたことがない。。。

さて、今日はハープのソロ・リサイタル。演奏者は平野花子というお嬢さん。
名前を聞くのも音を聴くのも初めてである。
まだ学生なのだが、音大ではなく一般大学に在籍というのだから、ユニークである。
余談だが「花子」という名前はありそうで意外にないものである。かつて知人の妹がその名前だったが、小さい頃はからかわれたものの、かえって珍しいし一度で覚えてもらえる、と結構気に入っていたようである。
というわけで、実際に花子さんという名前を持つ人と対面するのは二度目である。

話がそれたが、まずはプログラムを。。。

01.フランシスク(グランジャニー編):『オルフェの宝』よりパヴァーヌとブランル
02.カゼッラ:ハープ・ソナタ
03.サルセード:古代様式による主題と変奏曲
<休憩>
04.バッハ(オーウェンズ編):シャコンヌ(無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番より)
05.パターソン:蜘蛛
06.フォーレ:即興曲
<アンコール>
07.チャイコフスキー:『四季』より第5曲『白夜』

盛りだくさんの内容で、聴き応えがあった。
ただ、ハープの曲というのはあまり知られていなくて、多くが「初めまして」になってしまう。
フォーレの即興曲あたりは有名曲と言えるが、あくまでもハープの曲としてはであって、クラシック全体としての認知度は低い。

前半は知らない曲ばかり。
フランシスクは16〜17世紀にかけての人。優雅な舞曲と活気のある舞曲。
カゼッラのソナタは第二次大戦中に書かれた新古典主義的な曲。
前半でいちばん楽しめたのがサルセードの変奏曲。主題は綺麗だし、ヴィルトゥオーゾ的な魅力もある。

この時点でため込んでいたうやむやは払拭できた。

後半はバッハのシャコンヌから始まる。旋律楽器のための曲でありながら、バッハ作曲技法の粋を集めた傑作として、いろいろな楽器用に編曲されている。ピアノ、チェンバロ、マリンバ、ギターといった版を今まで聴いたことがあるがハープは初めてだ。
減衰音の長いハープで奏でられることによって、とても幽玄な音楽になっている。これはなかなか良い。技巧的な瑕もなく、いい演奏だったように思う。

初めましてが多いということは、おもしろい曲と出会えるという楽しみもあるわけだ。
パターソンの『蜘蛛』という曲はおもしろかった。4曲構成でそれぞれ蜘蛛の名前が付けられている。
1.The Dancing White Lady → 白足高蜘蛛
2.The Red-backed Spider → 背赤蜘蛛
3.The Black Widow → 黒後家蜘蛛
4.Tarantula → タランチュラ
こんな具合だ。
神秘的なようで、不気味なようで、それでいてちょっとユーモラスで。。。
一見優雅なハープからは想像がつかないような曲ばかりだ。終曲のタランチュラは激しい曲である。
妙な言い方だが、スペクタクルな魅力がある。
技術的に相当難しいのだろうと思うが、彼女はときおり笑顔を見せながら難なく弾いていた。
終演後に訊いたら「大好きな曲です」とのこと。なるほど。。。

先述のフォーレの即興曲もハーピストにとって重要なレパートリーだけあって、聴かせどころを心得た好演だった。一昨日の友理枝ちゃんのときにも書いたのだが、フォーレはメロディーの美しさもさることながら、ハーモニーがとても綺麗なのだ。逆に言うと、精緻なハーモニーの再現なくしてフォーレの名演はありえないということになる。というわけで、今日の即興曲は見事だった。全曲中最も余裕のある表情で弾いていたので、完全に手の内に入れているのだろう。

後半、シャコンヌですげ〜、『蜘蛛』おもしれ〜、で即興曲で唖然。。。結局即興曲が演奏的にはいちばん充実していたので、クロージングに持ってきた理由がわかった。

アンコールのチャイコフスキーはクールダウン的な穏やかさでなかなか良い選曲だったと思う。

グランド・ハープのソロ・リサイタルを聴くのは二度目である。
よって演奏の良し悪し自体はよくわからない。ピアノやヴァイオリンやフルートなどのような馴染み深い楽器であれば、好みの音色や演奏スタイルというものもあるのだが、ハープはそこまでわかるほど聴いた経験がない。それでも心に響くものはたっぷりあった。いいリサイタルだった。

まるで「B→C」のような気合の入ったプログラム。演奏者の気概を感じた。
平野花子、またリサイタルがあれば聴きに行きたいと思う。

さて、終わり良ければ全て良し。
文句を言いつつも三日間楽しんだことは間違いない。
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