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2021年09月28日21:00

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9/26 GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?@東京都現代美術館

横尾忠則は、私の中ではシブヤ文化と結びついている。寺山修司や唐十郎の芝居は幼すぎてリアルタイムではなかったが、高校大学のすぐそばに出来たばかりの西武やパルコ、ラフォーレ原宿で展覧会を見た記憶。原色猥雑な、でもすごくカッコいいポスターに目を奪われた。今でこそ近付きたくない街ナンバーワンの渋谷だが、この頃はニューカルチャー発祥の地できらきらしていた。



今年85歳だって!そりゃあ、私もン歳だもの、歳を取るわけだ。でも、現役バリバリ。昨年新美術館でみた「古典×現代2020」展では曾我蕭白と寒山拾得対決、西村画廊「タマ、帰っておいで」展でもペットロスをこんな形で克服する画家根性にリスペクト。

菊川駅からバス。行きは接続が良かった。予約推奨だが、予約なしで入場。先週行ったはしもとみお展より、ポーラ美術館展より、混んでいなかった。会場が広くてばらけるせいか?
とにかく点数が多い、第公募展並に、大型作品が天井まで隙間なくびっしり掛けられている、600点以上という。

まだ亡くなっていないのに(失礼!)画業40年の大回顧展の様相。しかし、大回顧展と明らかに違うのは、コロナ始まってのこの2年の大作が30点以上も追加されていて、1980年「画家宣言」をした最初のテンションのまま最新作まで突っ走っているところ。85歳のなせる業か!?とそれだけでも驚く。

13のセクションに分かれていて、会場パンフにその解説がつく。作品リストは置いていない。係員に申し出ればもらえたかもしれないが、600点以上のリストはA4で9枚分(DLできる)

今回の日記もまた長くなりそう…(スミマセン!)ボリュームたっぷりの展覧会でした。

https://genkyo-tadanoriyokoo.exhibit.jp/
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1960年代からつねに第一線で活躍し、日本を、そして世界を魅了し続けてきた、アート界のレジェンド、横尾忠則。その横尾の、60年以上にわたる創造の全貌を目の当たりにすることができる集大成の展覧会が実現します。横尾自身の総監修により、去年から今年にかけて描かれた新作を含めて、600点以上の作品が出品されます。横尾芸術のダイナミックな展開を、心うちふるえるまでに体感することができる、まさに画期的な展覧会となるでしょう。


神話の森へ
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人気グラフィックデザイナーから1980年に突然「画家宣言」、その頃の力強い作品群にいきなり圧倒される。自画像や三島由紀夫、高倉健。カラヴァッジョに捧ぐ作品も。鏡の破片や布、ネオンを使った派手なコラージュは、やっぱり天才グラフィックデザイナーらしさを感じる。


多元宇宙論
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カンバスを細く裂いて重ね合わせた初期の「多次元絵画」は、時空が交錯している様でおもしろい。
名画や映画を引用し、独自解釈を加えて、換骨奪胎した作品が並ぶ。受胎告知やミケランジェロ。
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「滝」への関心は強い、「テクナメーション」でインドを彷彿とさせる不思議な作品も。
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リメイク/リモデル
1966年の連作《ピンク・ガールズ》とその反復作品。あっけからんとエロいピンク・ガールズは当時衝撃。アメリカンなポップアートと土俗的なモチーフの融合がうまい。
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素朴派のアンリ・ルソーの絵画をブラックに改変。パロディは横尾の得意中の得意。いや、これはルソー愛の表れ
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1965年に制作のアニメが会場に流れている。エログロナンセンス


越境するグラフィック
1963年から68年デザイナー時代に手掛けた「天井桟敷」「劇団状況劇場」のポスターやシルクスクリーンがびっしり。懐かしくて食い入る様に見る。
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滝のインスタレーション
滝の絵制作のために集めた「世界の滝の絵葉書」13000枚を天井壁面に張り巡らし、床は鏡面に仕上げた「滝のインスタレーション」。
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膨大な数の滝像が鏡に無限に映る。クラクラする。滝のパワーに魅せられた横尾氏の思いがパワーに拍車をかける。


地球の中心への旅
暗い光に照らされた地底や洞窟、海を舞台に、少年や怪異な人物、女性の裸体像や人間の耳を組み合わせたシュールな趣の作品群。
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死者の書
血のような赤色で覆われた連作は、赤い壁紙に結集。空襲や生い立ちの記憶が劇的に表出され、死者たちとの交歓、輪廻転生、宇宙をも思わせる。
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顔をキャベツやトイレットペーパー、猫で隠した女たちの肖像も死を予感させる。
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Y字路にて
三叉路(Y字路)を中心に置く構図で、昼間や黒いY字路、雨のY字路、ポップ調や幻想的なY字路など、バリエーションに富んだY字路シリーズ。
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私はこのシリーズが好きだ。Y字路には得も言われぬ魅力があり、私もついシャッターを切る。象徴として捉えるなら、人生そのものでもあり、天国か地獄かへの分かれ道でもある。気を観るなら、そこには淀んだよからぬものが存在している様でもあり、食止めてくれる何かがある様でもある。しかも、取り残された様な街角にはノスタルジーを感じる。2000年から2014年まで描きためた50点は見応えたっぷり。


タマへのレクイエム
 二つのY字路展示室を繋ぐ通路にある。大きな作品が多い中、このシリーズはタマの等身大だ。西村画廊「タマ、帰っておいで」展(こちら)で拝見した作品。
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80歳近くなって愛猫を亡くす辛さ、人ごとではなく。1日1枚描くことでペットロスを乗り越えようとした横尾氏、私はどうやって乗り越えられるだろう。


横尾によって裸にされたデュシャン、さえも
絵画に否定的だったデュシャンの肖像や作品を引用した絵画作品。
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展示室に設置された木の扉はデュシャンの遺作で《死後の芸術》の再現だったと後で理解。解説欲しかったが、無粋なのか。


終わりなき冒険
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銭湯シリーズ、温泉シリーズ、等々次から次へと連作を創る。鑑賞者の方が息切れを起こしてきた…


西脇再訪
制作した紙漉きコラージュなど。この時、材料を運ぶ担当職員が遅刻してきたことに腹を立て、「制作意欲がなくなった」と個展を延期、物議を醸した。
しかし、その新聞記事をちゃっかりコラージュして作品を制作。そうそう、現代アーティストはこうでなくちゃ。
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原郷の森
2018年以降最新作まで。しかも2021年作が半数以上も占める。明るめの色彩や荒く薄いタッチに変わったのは、やはり歳のせい?と思ったけれど、このころ腱鞘炎や突発性難聴を患っていて、それを逆手に取ったのだと気づく。
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横尾パワーはすごい。寒山拾得シリーズは、禅画っぽいユルさが出ていて味わい深い。
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最後は2018年のでっかい自画像。最近の作品に首吊り縄が登場するのは言わずもがな。
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アーカイヴ
2階にある小さな展示室でには、5歳の時に描いた挿絵の模写や高校時代の油彩画など。
5歳で模写したって嘘でしょう!?のうまさ。
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高校時代のポスターに至っては、すでにプロ。
天才に生まれ、好奇心で生きている人なんだなぁ、と思う。

1階エントランスホールとホワイエでは、壁や柱にコロナ禍を受けSNS上で発信する《WITH CORONA(WITHOUT CORONA)》シリーズを紹介している。自身の作品などにマスクをコラージュして、現在も日々発信しているらしい。ホワイエのみ写真撮影可。
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10月17日
気力体力充実させてお出かけください
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