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2018年05月05日21:06

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言いたい放題のクルマレヴュー・【VWポロ・その2】

〜完成度は高いが新味が無い〜

 その1はコチラ左斜め下

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■CセグメントのようなBセグメント車■

 先日フォルクスワーゲン(以下、VWとします)ポロを試乗させて頂いた。VWポロは昭和50(1975)年に登場し、Bセグメント(コンパクトクラス)の鉄板モデルとして君臨して来た。日本でも評価が高く、つごう25万台以上が販売された。メルツェデス、BMWと比較して、VWは地方でも社会的に安全である。クルマがお好きなのですねぇ〜、と言われるだけで終わってしまう。そのようなところも日本で受けた理由のひとつだろう。

 6代目となったVWポロ。全長は4mだが、車幅は遂に3ナンバーサイズに突入した。しかし外観は先代のデザインをほぼ踏襲し、ゴルフがラウンド基調に対し、こちらは直線基調でシャープな印象を受ける。部分ごとの質感も先代と同様に高い。ウインカーもランプと平行に点灯し、21世紀のクルマだなという印象は受ける。

 荷物室の容量も350LとCセグメント(アッパーコンパクトクラス)並みの容量を実現している。VWはゴルフIVを凌駕するパッケージングを実現したと謳う。その言葉に嘘は無いだろう。特に後席の広さは3ナンバーの恩恵をよく感じる。

 シートはルノー・ルーテシア、プジョー・208のようなラテン系のクルマに見られる優しくて、官能的な部分は皆無。しかし呆れるほどの高品質で疲れにくい。特にゴルフ同様、囲まれ感が強い。硬めだが、遠距離は悪くない。この日は高速道路も走ったが、速度が上がれば上がるほど快適性が増して行くところは流石に欧州車である。

 ただ、その代わりと言っては難だが、細道に行かざるを得ない時、コンビニ、スーパーにちょっと買い物・・・という場合はシートが硬いので、やや気だるい。これはシートのみならず、3ナンバーになったことと無関係ではあるまい。

■エンジンに火を入れると・・・■

 エンジンルームを開けてみると、先代のポロも本当に小さなエンジンだったが、更に排気量を削って、3気筒の1.0Lのターボエンジンとなった。ドイツ本国には1.2Lのターボやディーゼルなどあるはずだが、日本ではこのエンジンと2LのGTIのみ。

 エンジンの音質はカリカリカリ・・・と硬質な音を立てるが、矢張り3気筒。軽自動車や日本の3気筒の1Lエンジン車と始動時の振動音は変わらない。室内に乗りこんで、まるで精緻な時計のようなメーター、シボなども後ろを振り返らなければ、リッターカーに乗っているのかと思うほどのクオリティだ。VWも

 「高級ではなく、高品質だと思われたい。」

 と謳うが、その試みはこのポロでも室内を見る限り、具現化出来ているだろう。

 だが、この振動音が正直言って、ポロの上質な室内とマッチしているのかと思いたくなる。

 なお、この印象は同じBセグメントのダウンサイジングターボ車、スズキ・スイフトRSt、バレーノでも感じずにはいられなかった。3気筒エンジンのエンジンサウンドは今後各社の課題になるかもしれない。

 なお、手前味噌で恐縮だが、スズキ・バレーノの試乗記はコチラ左斜め下

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 このあたりが購入される側の判断材料になる可能性はある。何と言っても、その価格だ。同じBセグメントのダウンサイジングターボ車であるスズキ・バレーノXT。セットオプションをつけてもせいぜい税込で180万円程度に対し、ポロのハイラインは実質300万円。その価格を考えるとかなり大減点とならざるを得ないのでは。このあたり、先代の1.2Lターボエンジンの方がまだエンジンサウンドは(実用車としては)なかなか快音だった気がする。

 長い坂をうんとこさ上がる際、電光石火の動きをする7速DSGは低いギアを選ぶ。この時のエンジン音は室内に入って来る。

「あれれ。このお値段で軽自動車みたいな音かよ。」

と思う日本人は多いのではないか。

 その一方で、VWらしさも感じる部分。ハンドリングは先代と同様、とても素直でニュートラルステア。どこまでも忠実な番犬のような頼もしさも感じる。ロールはしない訳ではないが、それが後席でも少しも不快にならない。ロールしても乗員が快適にいられるように躾けられているようだ。これはサスペンション単体だけでなく、新プラットフォーム、MQBの効果も当然あるだろう。

 エンジンは矢張りというか、先代の前期型のTSIの方がパワフルだった気がする。特に急坂で加速を要する時はもう少しパワーが欲しくなる。トルクは先代が16.3キロに対し、新型は17キロ以上あるのだが。VWによれば、0−400mで17.5秒を謳う。1.8L車の上位並みの加速性能はあるようだが、急坂ではややパワー不足は感じた。車重100kg増し(それでもゴルフIVよりはずっと軽いのだが)が響いたカッコウだ。

 直進安定性は乗る前は不安もあったが、相変わらず非常に高い。高速道路の横風は前方を走るアルファードが煽られ気味だったが、揺れそうにない。突風でも吹かない限り、かなりの安定性を示す。真っ直ぐ走るクルマ、というよりも真っ直ぐ走らせやすいクルマ、と言えば分りやすいだろう。

 気になったのは制動力。幾ら最新の安全装備で武装していると言っても、それが効果を発揮するのは非常時。最も日常お世話になるのはブレーキ。先代と先先代が全輪ディスクブレーキだったことを思うと、嘗てのようなまるで真綿の縄で縛るような気持のよいブレーキングではなく、制動力は国産車のコンパクトと大差無しといったところ。まあ日本国内だったら、これでも良いのかもしれないが、欧州では文句は出ないのだろうか。そのあたりが大変気になった。

 燃費だが、周囲に合わせて走った高速走行が20.1km/L、郊外の一般道で15.4km/L、そして総合(都心:2、郊外:4、高速:4)で、13.8km/Lだった。先代よりも約100kg増しの重量と排気量が1Lということが響いているのかもしれない。矢張りこの車、ゴルフのトレンドラインのエンジン(1.2L、105馬力)が欲しくなる。

■新型に新しい提案を見出しにくい■

 先代は新しい提案が多く、もう試乗はしなくても良い。良さは分かるから、と言いたくなるほどだったが、新型にはそれが見られない。が、それでも唯一見出そうとするならば、新プラットフォームのMQBの恩恵か。ゴルフIVと同等以上の居住空間を確保しつつ、ゴルフIVよりも軽い(ゴルフIVは1250kg程度)ことか。Bセグメントでありながら、Cセグメントの入り口を味わせてくれる。しかし価格も日本のCセグメント車達の上位と拮抗しているのが惜しいところだ。

 完成度が高いが新味が無い、そんなクルマはマーケットの導入期から早くも成熟期に入ったような感じで、衰えていく。近年復活したが、ホンダ・シビックも復活まで長らく低迷した。特に7代目はタイプR以外、どこにシビックらしさがあったのだろうかと思いたくなるほどだ。いっそ、フィットにシビックと名付けて売ればよかった、という声までホンダの社内から出て来たぐらいだ。嘗てホンダはシビックを軸に販売を展開して来たが、街中で見かけるのはフィットばかりとなった。トヨタのヴィッツも現行型の前期型はまさにそういうクルマだった。完成度はトヨタらしく高いが、新味は無し。欧州のヤリスにはちゃんとあるのにハイブリッドもディーゼルエンジンも日本では投入されず、販売はベースマーケットの乗り換えに支えられただけだった。漸くトヨタも気づいてカンフル剤としてハイブリッドの投入やラリーに参加するようになったが、トヨタの社内では最早ヴィッツは現行型で最後となり、次は新プラットフォーム・TNGAで作られたヤリスとして販売するだけでなく、今のところトヨタのPHEVは一般向けのはプリウスしかないので、1.5LのマイクロPHEVエンジンをヤリスに搭載することも検討していると聞いた。
まあ、でないと確かにアクアと共食いになってしまうだろうし。ヴィッツにハイブリッドが無いから、仕方なくアクアを買った人は多数いるはずだし。矢張りこの手のセグメントは新しい提案をし続けないとあっと云う間にマーケットを失ってしまうのだ。

 ポロも今のままではドイツ本国では色々とラインナップがあるから大丈夫かもしれないが、日本では試乗して貰わないことには、タダの高いクルマに過ぎないと見做され、低迷しかねない。

 VWがこうなったのも、ディーゼル不正などによる賠償金、制裁金などが影響しているかもしれない。個人的には不正よりも、VWグループの収益性が低いことがずっと気になっていた。逆にトヨタは収益性が高い。収益性が低い分、VWの方がトヨタよりも設備投資、開発費などにおカネを掛けていたから、品質が良いのだとしたら、先代のポロ、ゴルフが良いクルマだと多くの人が感じたのも頷けるところである。

 そこへ来てディーゼル不正だ。新型ポロ、エンジンがハイラインでもゴルフのエンジンが載らない、後輪はドラムブレーキになってしまうこと、3気筒のエンジン音など。快適さに貢献する新型のMQBの効果も感じるものの、コストカットも感じられ、残念な部分も多かった。

 試乗させて頂いたのはハイラインという実質300万円の仕様だが、もし購入するとしたら、個人的には最廉価のトレンドラインで十分な気がする。ハイラインと同じエンジンながら210万円で、60万円近くもお安い。欧州のBセグでこの価格ならばまあ納得。ホイールがアルミではない、ヘッドランプがLEDではなく、ハロゲンといった部分はあるが。日本で売られるガイシャの多くは最廉価と言いつつも、本国では比較的贅沢な仕様で、大抵は中の上くらいなのだ。

 とはいえ、それでも国産のBセグメントの上位グレードと比較しても廉価、というほどではない。来年の今頃にはトヨタもヴィッツ(ヤリスかも?)が出ているだろうし、スズキ・バレーノだって売れていないが、悪いクルマではない。スイフトのRStは全輪ディスク(最廉価のXGのみ後輪がドラムブレーキ)だから安心して乗れる。或いはポロのコンフォートライン(実質250万円)におカネを出せて、車幅1750mm以上が気にならないのであれば、マツダ・アクセラの1.5Lのディーゼルターボ、スバル・インプレッサの1.6L、トヨタのオーリスの120Tだって選択肢に上る。これらを見てからポロを購入されることを強くお勧めしたい。

 テスターの現在の選択を言えば、ポロ・トレンドラインを差し置いてスズキ・バレーノXTということになる。ダウンサイジングターボエンジンとしては、ポロ・95馬力に対し、バレーノ・111馬力。車重もバレーノは1トン以下。安全装備がオプションというのが頂けないが、実燃費でもポロを上回った。荷物室の容量ではポロ・350L、バレーノ・320Lでポロがリード。加速性能はポロ・17.5秒、バレーノ・17.2秒。バレーノはインドからの逆輸入車だが、ミッションの6ATとエンジンは日本製だ。詳細を見れば確かに安っぽいところが無い訳ではないが、ポロのトレンドラインと比較しても25万円も廉価であることを考えれば頑張っている方だろう。昔のアウディA3のようなフォルムはちょっと魅力的だ。

 長い言いたい放題のレポートを最後までご覧頂き、ありがとうございました。

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