年末に向けて”中掃除

　11月30日木曜日。
　ああ、一年の終盤を迎えてしまった。
　12月分の駐車場代を振込がてら銀行へ。2024年の卓上カレンダーをいただく。その足で図書館まで散歩がてら行く。一日最低5千歩、週平均6千歩の目標をクリアするため。
　書架の間をぶらついて、目に付いた本を引っぱり出しては立ち読みをする。自分を維持するためにある人は瞑想するし、ある人は筋トレをする。私の場合、本の背表紙を目で追いながら頭の中身を言語化させることがメンテナンスになる。
　コロナブックスの「作家の珈琲」という本を取り出して本文を広げてみたら、そこに井上ひさしさんがいて私もたまに行っていた喫茶店が載っていたり、高倉健の珈琲伝説＝1日50杯に詳細な取材がなされていて、結論としては10数杯らしい。同体裁のコロナブックスには「作家のおやつ」もあって、ぱらぱらとページをめくっているとカステラとか百年以上同じ味を守っている饅頭が次から次へと出てくる。カステラ食いてえ！　しかし三島由紀夫の頁で、彼は禁欲主義ゆえか甘い物を遠ざけていた、なんて解説を読むと、カステラ食いてえ衝動は治まった。
　昼を過ぎて午後2時半くらいから懸案だった電子書籍の編集、というか最終校正を始めた。次から次へと不備な箇所と文が出てくる。自分が第一稿をつくったのだが、杜撰だよなあと呆れる。気がついたら窓の外は真っ暗で、室内も灯りをつけてなかったのでパソコンのディスプレイのみが明るいという状態だった。
　夜8時半、風呂場へ。20分くらいぬる湯に浸かりながら夕刊を読んだあと、意を決して浴室掃除に手を付けた。といっても浴室の壁をバスマジックリンを含ませたスポンジで水拭きするだけのことだが。そのあと、浴槽の湯を手桶で汲んでは壁にばしゃばしゃと叩きつけてバスマジックリンを流す。自分の身体も頭もバスマジックリンが付着しているので、この時点で身体を洗い髪も洗った。
　さらに浴槽の湯を使うべく、ジーンズ2本を湯船に放り込んで足踏み洗いをした。一昨日、ジーユーのジーンズを買ったので、それをおろすことを楽しみに、と。
　湯はおろか水さえ不自由なガザ地区のパレスチナ人を想うと、ミスト状態になっている暖かな浴室で掃除・洗濯ができることはささやかな幸福ではないか。
　こんなことをやっていたら、1時間半近く経っていた。
　適度に頭を使い、適度に身体も使った一日。