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2023年10月15日12:44

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10/12 楽しい隠遁生活ー分人たちのマインドフルネス@泉屋博古館東京

両方とも小さい美術館なので、大倉集古館とセットで見る。いつも大声で話すご婦人グループがいる大倉集古館に比べて、こちらは一人客ばかりで静か。特に今回の展覧は地味だものねぇ。

https://sen-oku.or.jp/program/20230902_joifulseclusion/
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忙しない俗世を離れ、清雅な地での隠遁生活を送りたいと願うのは、超高速の情報が飛び交う現代社会に生きる私達ばかりではありません。むかしの人たちも政治や社会のしがらみから逃れ、清廉な生活にあこがれたがために、自ら娯しみ遊戯の精神を忘れず、自由を希求する「自娯遊戯」の世界を描いた絵画や工芸品を求めたりしました。そのために、東洋の山水画には、生き方の理想や文学的なテーマが隠されていることが少なくありません。そこには、田舎暮らしのスローライフを求める「楽しい」隠遁から、厳しい現実を積極的に切り抜ける「過激な」隠遁まで、実に多種多様な隠遁スタイルが見いだせます。
本展は、理想の隠遁空間をイメージした山水・風景や、彼らが慕った中国の隠者達の姿を描いた絵画作品とともに、清閑な暮らしの中で愛玩されたであろう細緻な文房具なども併せて展示いたします。中国の士大夫や日本の文人たちが抱いたマインドフルネス(安寧な心理状態)に触れることで、暮らしを楽しむ生の充実の一助となれば幸いです。


1 自由へのあこがれ「隠遁思想と隠者たち」

脱俗の人たちを、隠者、隠逸、高士という。許由、竹林の七賢人、陶淵明、達磨など。日本では、西行、鴨長明、松尾芭蕉など。

橋本雅邦《許由像》
帝位を譲ると言われたものの、その申し出が汚らわしいと聞いた耳を水で洗ったという許由。その水が汚らわしいと牛に水を飲ませず帰ったと言う巣父とセットで描かれることが多いが、こちらは、人から贈られ気に入っていた瓢箪を、松の音を邪魔するとわかれば惜しげもなく叩き割ったという逸話。高潔もここまでくると偏屈に思えるが(笑)、絵はスッキリ素晴らしい。
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森寛斎《陶淵明像》
こちらは穏やかなじぃじと言う感じで、好ましいなぁ。
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中国・清1665年 石渓《面壁達磨図巻》
無精髭で顎を突き出し、飄々として見える達磨禅師が少しユーモラス
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2 理想世界のイメージ
陶淵明が描いた桃源郷。その世界を絵画や煎茶道の中に求める。形式化し権威化した茶道へのカウンターとして、売茶翁が登場、文人の間で煎茶文化が広まっていった。絵画作品に加え煎茶道具なども展示。


3 楽しい隠遁ー清閑の暮らし
山あいの小さな書斎や巨大な滝を「観瀑」する人々を描いた作品。大きな自然への畏怖と憧れ。キャプションでは、六本木界隈の「観瀑スポット」も紹介していて面白い。

長吉《観瀑図》
人物は画面の中にちっちゃく、でもしっかりと描くのがセオリー。
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森琴石《山水図》
高橋由一から油絵の手解きを受けた森琴石の青緑山水図は、奥行きの表現が西洋画風。
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伝周文《山水図》
室町時代の禅僧、御用絵師。清澄な空気感。今回の妄想お持ち帰りはこれ。
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岸田劉生《塘芽帖》
塘芽は唐画とかけて、中国画収集の時の画号。晩年の作と言ったって40歳にも満たない。早くも隠者の境地とは。
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太湖石
中国の庭園に行くと必ずある奇岩。花鳥画にもよく描かれる。
紫檀の台を複数用意し、別の台に置きかえるたびに、石として「固化」した「気」と直接交流できると言うのが、文人たちの楽しみ方らしい。
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4 時に文雅を楽しむ交遊
文人のサロンを描いた「雅集図」や「臥遊図」。隠遁生活が芸術を生む土壌となる。

村田香谷《西園雅集図》
リニューアルオープン記念展で展示があった作品。思い思いに書画を楽しむ中に、岩に直接描こうとする文人もいる。
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小田海僊《酔客図巻》
酔っ払いたちの様子が楽しく描かれている図巻。画像はなかったが、酒が入っていた大きな甕に「もうないのか?」と覗き込む人、果ては、甕の中に入り込む酔っぱらいまでいて可笑しい。
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世俗を捨て楽しい隠遁生活をするのも、やっぱりある程度のお金がないとできないよねぇ、年金だけじゃ無理、、、なんて、見終わってから思う私でした。

10月15日終了


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