Kの清水さんですが、今のところ2月の「海賊」に名前がないのは、
どうやらアメリカのバレエ団へゲスト出演するのが理由のようです。
* * *
今から約1カ月ほど前、手帳を眺めていて、
今年のバレエ見納めは新国の「くるみ」ということに気づきました。
前回新国を観たのは10月の「ドンQ」。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1312975794&owner_id=3210641
想像していたよりも良くなっていたので、大丈夫だろうとは思ったものの、
「新作の牧版」というのがひっかかりました。
できれば「良かったね、楽しかったね、素晴らしい舞台だったね」
というシアワセな気持ちで1年の最後は締めくくりたいものです。
そこで、出遅れて希望の席がとれず、断念したKバレエの「くるみ」、
ダメ元で再度チケット・スペースに電話したところ、
なんと! 出戻りチケットがありました! \(^o^)/
というわけで、26日は初台と赤坂のマチソワと相成りました。
* * *
主役陣とオケのおかげで、仮にこのまま見納めとなっても、
(もやもやは残るものの)まあまあ納得の舞台でしたね、
と師匠と感想を語らいつつ、初台から赤坂へ。
バレエ・コミュに、
「クリスマスに初めて『くるみ』を観るのですが、お薦めは?」
というスレを立てた方がいました。
ただし、なんでもいいというのではなく、マールイと新国の二択で、
またハコやオケにもこだわりたいご様子。
ダンサーの容姿や技術レベルなら、問答無用でマールイですが、
当日は横須賀公演、残念ながら行ったことがありません。
また踊り重視の演出も、初心者が果たして楽しめるかどうか。
新国なら、ハコは申し分ありませんが、
クリスマスのイベントに欠かせない食事のことを考えると、
すぐ近くに薦めたいお店がありません。
「牧版」も、その時は未知数でしたし。
そこで私が勧めたのはKバレエ。(^o^)
赤坂sacasはホワイエが狭く、音楽も録音と、
ネガティブな要素はいろいろありますが、
すぐ隣の建物には多彩なレストラン街もあり、
なにより版の楽しさは折り紙付き。
そして終演後、火照った頬をなぜる夜風を心地よく感じながら、
その判断が間違いでなかったことを実感していました。(^^)
* * *
当初は浅川さんと宮尾君の配役でしたが、2人とも怪我で降板となり、
松岡さんと遅沢さんの組み合わせに。
ところが当日の配役表には、遅沢さんに代わって清水さんの名前。
遅沢さん、怪我の具合は大丈夫なのでしょうか。(T_T)
Kは怪我人が多すぎる、ダンサーに負担をかけすぎているのでは、
と言う人もいますが、そういう方は海外バレエ団の来日公演を、
あまり観ていないのでしょうね。
もちろん、怪我はしないにこしたことはありませんが、
Kはそれだけ海外のバレエ団に近い、
激しいトレーニングや内容の濃い舞台をしている、
と私と師匠はみています。
話を舞台の様子に戻すと、まずクララを務めた神戸さん、
その成長ぶりに目を見張りました。
一時期伸び悩んでいた頃もありましたが、
昔のコジョカルさんを彷彿させる、のびやかで優しい踊り。
雰囲気も愛らしいクララでした。(^^)
常に彼女を気遣い、物語の進行を司るドロッセルマイヤーは、
キャシディさん。ダウエルさんの怪しさも捨てがたいですが、(^o^)
ダンディーなオジサマは好感度大です。
熊版で特筆モノなのが、ねずみたち。
ぴーらびを思わせるリアルな風体で、その動きがまた秀逸。
誰が演じているのでしょう。(^^)
コミカルな演技が可愛くて、ついぎゅうと抱きしめたくなります。
彼らのカテコがまた面白く、
観に行った日は一匹がねず王に跳び蹴りしてました。
雪の女王は樋口さん。チュチュ姿を観るのは久しぶり。
雪の王様を尻に敷く、貫禄の女王様でした。
赤坂バージョンは前述のように録音で、
演奏自体は迫力があり、聴くには良いのですが、
テンポが早すぎるのが難点。
せっかく滑らかな踊りもできるようになった群舞が、昔のようにせわしない。
でも、ごまかしたり勢いまかせにせず、
きっちり制御して止めるところは止めているのは、
あの曲の速さを考えると大したものです。
中には優雅さを失わない人も。相変わらず鍛えているなあ。
スペイン人形は、ロシアのバレエ団を見慣れている目には、
残念ながらここも物足りません。どこが違うのでしょうね。
アラビアも色気という点では要修行ですが、ぶれのない力技は嘆息もの。
(アラビアの感想に使う単語として適切かどうかはまた別の話)
中国人形は、ライト版のような装飾はありませんが、
オーソドックスにきっちり魅せてくれます。
そしてロシア人形。
新国のトレパックも良かったですが、
パワフルさ、豪快さはKのウリですからね。
一日の長があります。
フランス人形は、前回観た時よりも良くなっていましたが、
これは新国に軍配。
そしてグランパ。
松岡さんの踊りを形容するなら、パワーとスピード、テクニック。
それがさらにグレードアップし、
海外のダンサーと比べても見劣りしないほどですから、
多少上品さに欠けていても、これはこれでありでしょう。
踊りの優雅さという点では、
小野さんよりもマイレンさんの方が上でしたが、
ここでも松岡さんより清水さんの方が上品。
もっとも彼はK随一のノーブルな踊りをする方ですからねえ。
Kのダンサーたちの踊りには、外国のダンサーたちのように、
内側からはじけるような力強さがあります。
たとえるならスポーツカーでしょうか。
加速、旋回、制動すべてが高いレベルにあり、
ファミリーユースの一般車にはない魅力があります。
と書くと、「誉めすぎ!」と誤解する人が出てきそうなので言葉を足すと、
ようやく外国のバレエ団の基礎レベルに到達した、ということです。
現状で満足せず、さらなる高みを目指してくれますように!
熊版のいちばんの長所は、ライト版のように、
物語の骨格がしっかりしている点です。
ドロッセルマイヤーやクララはもちろん、
人形たちもただのディベルティスマン要員ではなく、
それぞれ物語の中で重要な役を担っています。
お話は、人形の国のマリー姫が、婚約者の近衛隊長ともども、
ねず王の呪いによりねずみとくるみ割り人形に
変身させられてしまうところから始まります。
ねず王の国と人形の国は、長い間領地争いをしているのでした。
ちなみに赤坂バージョンでは、舞台が狭いので装置の一部が省略され、
変身シーンも肖像画が変わるだけですが、
初演時はマリー姫も最初から登場していました。
呪いは、世界で一番堅いクラカトゥクくるみを、
純真な心を持つ人間の子供が、ねず王の手にする槍で突き壊さないと、
解けないという設定で(なぜかは聞かないでください)、
ドロッセルマイヤーは、王様の命を受け、
そんな子供を探しに人間の世界へ使わされたのでした。
その後の展開については、昨年の日記に記したとおり。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1036604664&owner_id=3210641
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牧さんは、一人でも多くのダンサーを舞台に上げたいと言ってますが、
熊版を観ていると、ただ踊らせるだけでいいの? と問いたくなります。
たとえば鉛の兵隊、ねずたちと戦うだけでなく、
ドロッセルマイヤーに王様の命令を伝えに来たり、
2幕ではちゃんと王宮を守っているんですよ。(^^)
クララもマリー姫からティアラをプレゼントされたりと歓待され、
常にドロッセルマイヤーが側にいて、一緒に踊ったりする場面もあります。
そして別れの時が来て、
「まだここにいたいの!」と悲しそうに懇願するクララに、
マリー姫たちが寂しそうに、
「いいえ、あなたは人間の国に戻らなければならないのよ」
と手を振りつつ闇の中に消えて行くときは、
観ている者をもほろりとさせます。
慌ただしい師走ですが、ふと幸せな気分に浸りたくなったら、
ぜひKの舞台に足を運んでくださいね。(*^^*)
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