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2023年10月16日13:23

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10/14 クーばあちゃんの魔法の花空間ー庫淑蘭切り絵展ー@日中友好会館美術館

コミュで情報を得て、早速行ってきました。

まずは、会館の中にある「中国茶芸苑 馥(フク)」の名物麺をいただくことに。
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ランチメニューの一番下「七番 本場シェフ店内手作りビャンビャン麺」
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こういう字を書きます。
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総画数57画?58画?とも言われるこの漢字、ビャンビャン麺以外には使うことなく、「中日大辞典」にも載っていない漢字なので、おそらく陝西省の方言だと思いますが、妙に食欲をそそる漢字と思いませんか。長年食べてみたいと思ったので夢果たしました。
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もやしや青梗菜などの野菜と肉そぼろの具と薬味で和えるひもかわうどんですが、とにかく太い。そして長い。たった2本しか入っていませんが、たっぷりの一人前。なるほど、これは西安の屋台料理ですね。早く作るためにうどんは平たく太く長く打って切らない。茹で上げに具と薬味とばっとかけて供する。これなら客を待たせることはないわけだ。お味はピリ辛で、とても美味しかったです。麺はモッチモチ。ちなみに、麺を打つ時ビャンビャンと音がするので命名されたとか。

さて、本題。

https://jcfcmuseum.jp/events/event/2023-14/
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日中友好会館美術館では、2023年9月22日(金)から11月5日(日)まで、日中平和友好条約締結45周年を記念する第二弾の展覧会として「クーばあちゃんの魔法の花空間 〜庫淑蘭切り絵展〜」と題し、中国陝西省美術博物館から届いた庫淑蘭(クー・シューラン 1920-2004年)の切り絵作品70点を展示紹介します。
「切り絵の女神」と呼ばれる庫淑蘭は、中国の芸術家として初めて、ユネスコより「民間美術工芸の巨匠」の称号を授与された人物です。およそ20年前に亡くなった彼女を私たちは親しみをこめて「クーばあちゃん」と呼んでいます。
近代中国社会の最も激しく変革した時期に波乱に満ちた人生を生きた彼女は、自然・郷土・人間に対する深い愛情と強い生命力が感じられる多くの作品を残しました。
クーばあちゃんの切り絵には、一枚の紙を切って作る中国の伝統的な切り紙とは異なり、「切る」と「貼る」の技法を組み合わせたオリジナルの創作法が用いられています。実在の動物たちやたくさんの種類の花、神話に登場する神々が、生き生きとした色づかいでよりダイナミックに、より繊細に表現され、彼女の独特の世界観と美意識によって一枚の絵の中に収められています。
さらに65歳の時に遭った転落事故の後、突然現れた「切り絵の女神」を中心としたシリーズは、個性的で芸術性に優れており、世界のアートシーンから注目を集めています。
まるで魔法をかけたかのように、切り絵で、夢と希望に満ちあふれた理想の世界を表現したクーばあちゃん。ぜひ、クーばあちゃんの魔法の花空間をお楽しみください!
本展では、作品のテーマと創作年代の2つの軸に着目し、「花鳥風月」「民俗風習」「神話伝説」「切り絵の女神」の4章に分けてご紹介します。


中国には「剪紙」という切り絵紙文化がある。が、クーばあちゃんこと庫淑蘭さんの作る切り絵紙はそれとは違い、いろいろな色の紙を切って、重ねたりずらしたり裏打ちしたりして貼っていくのだ。それはもう気の遠くなるような細かい作業だが、出来上がった大きな作品には、人や動物や植物、神様たちもが画面いっぱいぎっしりと生き生きと描かれ、とてもカラフルで実に楽しく美しい世界。
クーばあちゃんはユネスコより「民間美術工芸の巨匠」と認定された中国初の芸術家なのだ。

ところが、クーばあちゃんの生涯は過酷なものだった。
1920年中国陝西省北部黄土高原のヤオトン(窯洞)で生まれる、そこは封建主義の影響を色濃く残す農村部であった。なんと3歳で結婚、纒足を強制され、夫からはDVを受けた。当然文盲であった。衛生状態が悪かったため13人の子供のうち10人を亡くしている。さらに65歳の時には不幸にも崖から転落する事故に遭い、生死の淵を彷徨うことになる。2004年没。中国の歴史と照らし合わせても激動の時代を生きたと言える。

纒足については、昔、その「作り方」、その目的が事細かく書かれた本を読んだことがあるけれど、それは想像を絶するもの。運良くお金持ちの妾になれれば良いが、その不自由な足で貧乏農家の嫁となり農作業をするなんて辛すぎる。遠くへ逃げられないように嫁に纒足するなんて習慣、人権蹂躙にも程があるね。

さて、そんなクーばあちゃんの作品だが、その色彩感覚、造形感覚が素晴らしい。ひょっとしたら、漢民族ではなく、少数民族なのかしらと思って調べたが、そうしたことを書いてある記事には出会えず。いずれにせよ、過酷な運命を背負っていると思えないほど、明るくて生きる喜び・エネルギーに満ちている。

1982年の初期の作品《花瓶と三果》三果とは、桃、柘榴、仏手柑のこと。
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1989年《牡丹の花》鮮やか
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1991年《青い枝葉と白い蓮の花》
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1981年《五毒》
五毒のうち、蛙や蜘蛛は子孫繁栄を表し、蛇は女性の姿、ヤモリ(四つ足の蛇)は人類の創造を表しているといわれる。サソリ「蠍子xiezi」は「携子(子を授かる)」と同音で、どれもめでたい意味を持つ。
蛇の体の下に渦巻きがあるのは、蛇の体が長いことを表しているんだって。
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1989年《生命の樹》
力強い木の枝にたくさんついている小さな虫は、クーばあちゃんが想像する蜂の姿。クーばあちゃんの住んでいるところには蜂がいなかったらしい。文盲で狭い世界の中だけで生きてきたクーばあちゃんだけれど、想像の翼を広げていたのね。
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2001年《獅子の子》
中国といえば、カラフルな獅子舞を思い出すけれど、クーばあちゃんのそれもまた可愛い。全身を覆うギザギザ模様は子獅子のふんわりした毛並みを表したのかな。
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1989年《花咲くザクロの木》
たわわに実るザクロの木を前に、女の子がカゴとハサミを持っていざ収穫。ざくろの実のつぶつぶが弾けそうに瑞々しい。
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1984年《おめかし姉さん》
橋の下の川の流れと魚の描きかたも素晴らしい。
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1991年《橋をわたる恋人》
自由恋愛の許されなかったクーばあちゃんは、若い恋人たち「馬を引く江娃(ジャンワ)と馬に乗る梅香(メイシャン)」を何度も描いた。
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1991年《田舎の風習》
天秤棒を担ぐ娘やランタン祭りの様子など。全体の構成も天賦の才。
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1983年《犬の餌やり》
女の子の長いおさげ髪は当時農村部の流行。膝の折り曲げ表現も独特で可愛い。水汲みは若い子達の仕事だったのね。
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2001年《1月3日の顔剃り》
この地方では、1月3日に顔の産毛をそる習慣「絞線(ジャオシェン)」があります。女の子のおしゃれの日。
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1992年《小正月の祈り》
小正月には明かりの灯った部屋で祈りを捧げる。
若いときに家の中に電気が通っていなかったクーばあちゃんは、電球やその光に特別の思い入れがあり、葉っぱのついた電球がしばしば登場する。
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1990年《民間信仰の神々》
儒教、仏教、道教が混合する中国の民間信仰。
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1983年《太陽神に祈る》
クーばあちゃんにとっての太陽は、恥ずかしがり屋な女性、だから太陽は自分の素顔を他人に見られないように辺りを眩しく照らす。一方、月は、夜に外に出てくる勇敢な男性。伝統的な中国の陰陽と真逆な発想は、教育を受けていないだけ自由。
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クーばあちゃんの道具箱
切り絵を創作する際に、ハサミなどの道具や切りとったパーツをこの箱の中に大切にしまっていた。こう言うものを見ると、胸に熱いものが込み上げるね。
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1989年《切り絵の女神》
崖から転落し一命を取り留めた1985年の事故を境に、クーばあちゃんはますます切り絵に没頭する。この頃から、ファンも増え始め、協力者も出てきたという。
切り絵の女神はクーばあちゃんが創造した自画像といわれており、立っているものは自画像、座っているものは神化した自己の姿とのこと。
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立っている足は、纒足で小さい。
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1992年《切り絵の女神》
1992年 第2回「中国民族文化博覧会」に出品され、第1位を獲得した作品。この作品には丸く切り取られたパーツが 2,356個、ギザギザに切り取られたパーツが 362個、花形のパーツが252個も使われているという。
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私が庫淑蘭さんを知ったのは今回が初めてだったが、ネットで調べてみたら以下のことがわかった。

1997年に台湾で作品集が発刊された。
2013年には銀座ミキモトホールで日本の初個展ががあった。

こうして、クーばあちゃんは世界でも有名になったが、台湾の雑誌「新大学」の記事を読んだところ、彼女は死ぬまで、同じたった9平米の小さく粗末な家で暮らし、作品を作り続け、病気でも治療を受ける金もなく亡くなったとあった。

https://www.theintellectual.net/zh/component/content/article/81-divine-situation/folk-weekly/3840-202215b.html?Itemid=101

しばしば、優れた芸術作品であっても、そこに権威の後押しがなければ、正当な評価を受けることなく、芸術家の境遇は改善されない。まして、今の独裁中国では、素朴だけれどこれほどまで芸術性の高い作品を保護する為政者がいるだろうか…。
作品が明るく生命力に溢れ、美しい世界を描いているだけに、そんなことにも思いを馳せてしまった。

入場無料。写真撮影可。
ポストカードの販売などありませんが、アンケートに答えたり、SNSでシェアするとポスカがいただけます。

アルバムあります。素晴らしい作品たくさんありますのでごらんください。
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000120873565&owner_id=2083345

11月5日まで。

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