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2021年09月22日12:37

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本棚420『日本鉄道史 昭和戦後·平成篇』老川慶喜(中公新書)

 太平洋戦争後の占領期·復興期から、高度経済成長期、モータリゼーションを経て現代まで、国鉄からJRへの変遷を中心に、私鉄にも目配りをしつつ、鉄道の歴史をまとめている。
 37兆円もの負債を抱え経営破綻した国鉄。輸送構造の変化への対応の遅れや歪んだ労使関係が批判されがちだが、著書は破綻の主な要因として、政治路線の建設費やローカル線の赤字、膨大な年金など、国鉄自身では対応が難しい構造的問題があったと指摘する。また、国鉄は分割民営化によって、JRという優良企業へ生まれ変わったとされるが、他の交通モードとの輸送分担率は特に変わっておらず、JR北海道や四国のように厳しい経営の会社も存在する。
 地域の足としての公益性の確保維持と、民間企業としての利潤の追求のバランスは永遠の課題であるが、高齢者や学生などの日常の足として欠かせず、マイカーに比べて圧倒的に環境に優しい鉄道への期待はなお大きいものがある。
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