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2018年01月17日23:52

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東映集団時代劇が面白すぎる

春日太一さんの「あかんやつら」に影響されて、東映時代劇を見まくっている。「十三人の刺客」を嚆矢とする残酷リアル路線の時代劇を「集団時代劇」と呼ぶそうだ。集団というよりリアルと呼んだほうが実情に近いと思うが、この呼び名は定着しているので、従います。

・大殺陣(64)監督:工藤栄一 主演:里見浩太朗
次期将軍候補の綱重を暗殺する。「十三人の刺客」と同工異曲だが、綱重は別に悪人ではないので、感情移入しづらい。おまけに襲撃メンバーがクズぞろいと来ている。リアルにこだわりすぎると娯楽性が犠牲になる。決着のつけ方に唖然として、評価が上がった。
評価・・・松

・十七人の忍者(63)監督:長谷川安人 主演:近衛十四郎、大友柳太朗
謀反連判状を入手すべく、公儀伊賀忍軍が駿府城への侵入を企てる。城側では根来忍者の頭領を雇い入れ、阻止せんとする。捻じれた誇りを持つ根来忍者・近衛と伊賀の頭領の鬼気迫るやりとりが見どころだ。裏を読み合い、容赦なく殺す。半世紀も前にこんな優れたサスペンス・アクションが日本で作られていたとは。六人の容疑者がいる。「誰かわからないから、全員殺せ」と指示を出す近衛の狂気が凄まじい。打つ手はすべて正しいのだが、藩士たちの怠慢と反発のせいで敵に付け込まれる。アンビバレントな憤りは、まことに現代的な葛藤といえる。
攻略側と防御側の両方から描くところが斬新だ。終盤のアクションは映画史上屈指の名シーンである。評価・・・特上

・忍者狩り(64)監督:山内鉄也 主演:近衛十四郎
松山二十万石を取りつぶすため、幕府は甲賀忍者たちを放った。幕府に主家を潰された腕利きの浪人四名が、忍者狩りとして雇われた。防御側視点の作劇で、「十七人」に比べるとシンプルな筋立てだ。が、戦術的な面白さは抜群で、殺陣の迫力は凄まじい。ドラマの完成度では劣っても、純粋な好みでいうならこちらのが好きだ。評価・・・特上

・十一人の侍(67)監督:工藤栄一 主演:夏八木勲、里見浩太郎
悪逆非道な将軍の弟を討て。完璧に近い襲撃プランが、政治的判断で見送られる。見ていて歯ぎしりした。で、無茶な特攻をやらざるを得なくなる。雨中の戦闘はリアルを通り越して生臭いほど迫力がある。役者の吐く息が真っ白だ。おまけに全員がずぶ濡れである。スタッフの情熱と執念に感服した。評価・・・特上

・十兵衛暗殺剣(64)監督:倉田準二 主演:近衛十四郎、大友柳太朗
十兵衛・近衛を将軍家指南を狙う幕屋大休・大友が狙う。幕屋は琵琶湖の湖賊を味方に引き込んでいる。柳生一門と水中から現れ巧みに小舟を操る湖賊の死闘が見ものだ。ひたすら活劇だけを楽しむ映画で、殺陣に特化した娯楽時代劇としては最高点に近い。ラストの近衛VS大友の決闘は、とにかく痛そうだ。評価・・・特上と松の間
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