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2017年08月11日10:15

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幼いころにかすかに題名を聞いた気がする映画を、たまたま見ました。市川崑監督「ブンガワンソロ」(1951)。

昭和26年秋に公開された新東宝映画です。例のディアゴスティーニとかいう週刊だか月刊のシリーズでDVDが出ていたようです。おそらく今回、日本映画チャンネルで放送したものは同じマスターでしょう。まるでVHSレベルかと思うような画質でした。ということで、まず画質的な意味からお勧めしません。

物語は、第二次大戦末期のジャワ島が舞台だそうです。敗戦濃厚の日本軍から脱走兵が出ている。脱走兵の野呂(伊藤雄之助)を追いかけてきた、戦友の深見伍長(池部良)と武上等兵(森繁久弥)も脱走兵とみなされている。そしてジャワの農民夫妻(小沢栄太郎と高橋とよ)の家に逃げ込むという展開。

脚本が市川崑と和田夏十ですが、戦後まだ5年しかたってないのに戦争映画です。脱走兵というテーマだから制作OKとなったのか? それにしてもタイトルに“マレー語指導”と出ますが、ジャワはインドネシアですからインドネシア語ですね。農民たちのセリフには字幕が出ます。ただ劇場でならともかく、これをテレビ画面で読めというのは無理ですわ。

農民夫妻の家には年頃の娘サリヤ(久慈あさみ)とその妹カルティニ(若山セツ子)がいます。どうやらこの映画の“売り”は、熱帯地域の民族衣装を着た久慈あさみの色気のようです。その後の無国籍アクションに出てくるクラブの踊り子たちよりも、よっぽど色気が感じられる。久慈あさみ、29歳ですから、おいしい盛りと言えるでしょう(いかん、後の社長夫人に失礼をば)。

とはいえこのころの新東宝作品は、のちにエログロで売る新東宝とは違います。作家精神にあふれた人々が、労組問題でもめる東宝から逃げてきたというニュアンスがある。とはいえ、この「ブンガワンソロ」には、そんな高邁な思想は感じられませんけどね。

僕が「ブンガワンソロ」という映画があると知ったのは、小学生のとき音楽の時間か何かで“ブンガワンソロ”を覚えたときです。家に帰って口ずさんでいたら、母親も歌い始めた。そしたら父親が、映画があったな、みたいな発言をし、しかし母親がその内容にまで触れさせなかったのでした。

僕は小学校1年生になったばかりのころだと記憶しています。たから意味は分からなかったけど、さえぎられた父親のバツの悪さだけが不思議と記憶に残ったのでした。今回「ブンガワンソロ」を見て、久慈あさみの姿にであった瞬間、僕の頭の上に“電球”がともったのでした。

今見直しても、民族衣装を着た久慈あさみの魅力は、なかなかのものです。←この“なかなか”は、三上寛さんによる“吉野家の牛丼はなかなかのものである”という場合の“なかなか”とは違って、“相当”とか“上々”とか、簡単に言えば(と加藤一二三風に言ってみる)“すばらしい”と同義なのでした。

ひどい画質だし、二度と見直すことはないだろうけど、以上の理由から僕はこの映画をDVD−Rに焼いて保存したいと思います。
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