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2016年05月17日09:21

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「アフリカは今」

先日、たまたまNHKラジオ第2で放送されている、カルチャーラジオ「アフリカは今」(*)を聞いて、これはなかなか興味津々…と思い、途中の回からだが、テキストも購入して聴き始めた。

(*)http://www4.nhk.or.jp/P1927/

講師は松本仁一さんという、朝日新聞出身のフリージャーナリストの方で、すでにアフリカに関する著書を何冊も刊行されているそうだが、僕は不勉強にしてこの番組で初めてお名前を知った。こういう番組で、ただただ用意した原稿を読み上げるだけの方もいるが、それでは聴いていてまことにつまらない。テキストを読んでおけば十分だろうという気持ちになってしまうが、松本さんは、書き言葉ではなく、わかりやすく語ってくださるのがとてもいい。

先週は南アフリカの北にあるジンバブエのお話だった。1980年、イギリスから独立、解放闘争の指導者だったムガベが政権の座についた。最初は理にかなった農業政策などが功を奏し、ジンバブエは順調な国家運営の途についたが、ムガベ政権が長期化するにつれ、1990年代後半頃からムガベが公私混同の政策群を乱発し、経済は混乱し国家は窮地に陥っている。

と、ここまではニュースなどでもたびたび聞く話だが、その長期政権の腐敗の背景についての松本さんのお話が、なるほど!と思えるものだった。

ジンバブエは、北部のショナ族と南部のンデベレ族の複合民族国家だが、双方の民が自民族をネイションと考えているので、大統領選は、ショナ・対・ンデベレの争いになる。人口比率はショナ75パーセント、ンデベレ20パーセントなので、ショナ出身のムガベが自民族に有利な政策を掲げれば、おのずと当選してしまう。選挙が国民ベースの政策の争いとして成り立っていない。

最近は、さすがにショナ族の中からも、長期政権の腐敗を批判する党派が現れたが、その立候補者は不審な交通事故などが続き、生命の危険を感じて撤退したという。こうした問題に対して歴史の審判が下るのは、この先のことなのだろう。

もともと、かつての大英帝国が、それぞれがネイションの意識を持つショナとンデベレを機械的に統合して、ローデシアという植民地国家にしたのが、そもそもこの問題の源である。ショナ族の民はわれはショナの一員と思い、ンデベレ族の民はわれはンデベレの一員と思っている。どちらの民も、われはローデシアの一員とは思わなかったし、同様にしてわれはジンバブエの一員とも思っていない。

このようにして、よく言われることだが、定規で直線を引いた如くの国境線設定に端的に見られるような、かつての列強による植民地支配は、独立後の現在の問題につながっている。これを、アフリカの民は“遅れて”いて、いまだに民族対立が止まないのだ、などと言ってはものごとをとらえそこなう。植民地支配という暴力が今もなお問題なのだ。

というようなことが、先週の松本さんのお話でよくわかったのだった。

この番組は毎週火曜日の夜8時半から9時まで。再放送は、翌週火曜日の午前10時からである。


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