地球ならきっと大丈夫って顔でタオルが空をまだ見てるよね #短歌冗談でぼくらのための透明なラベルみたいでまだ貼らないで #短歌やわらかなひかりの芽を包むよう まだ渡さない春を抱いてる ラベル #短歌世界には終わりがあると知った夜 プリンの甘さやけにリ
返した手ほんのわずかな温度差がわたしの夜を説明してる #短歌たたまれた布のやさしい匂いからまだ帰らない今日を感じる #短歌呼ばれてもすこし遅れて歩き出す わたしの影をわたしが追って #短歌昨日よりやさしい影を雲に見て戻す箱には鍵をかけない #短歌す
電気だけ消して戻ってきた部屋で続きのことはまだ考えない #短歌春の雨あなたの名を呼ぶたびにヴィオロンひとつひかりを失う #短歌空席に影まで置いて帰ったの 夜がきちんと始まるために #短歌3月の重さをそっとのみこめば骨より深い理由が見える #短歌通話終
喪失は消失ではないと知るために輪郭ばかりを何度もなぞる #短歌拾うたび少しやわらぐ輪郭を夜の隅へと座らせておく #短歌うすいうすい膜のこちらで笑ってる 守られていることも知らずに #短歌着ない服ばかり増えてくこの部屋で時間だけが僕を着替える #短歌
祈りとはたぶん体温の残像で読まれぬ名だけこちらを向いて #短歌 名づければこぼれそうだと知りながらポケットの闇 光を飼って #短歌雨あがり手のひらの線ひらきつつ ひとりぶんだけ夜をほどいた #短歌改札は時間を少しずらす装置 追いついたのは今日のわたし
ゆらゆらとちいさな羽がふるえてる だれも知らないそらをさがして #短歌言わなくてよかったことの置き場所を探して夜のコップを洗う #短歌椅子の上 気配が先に座っててあとからそっとぼくを置いたよ #短歌うなずきのあとで世界が静かなら ぼくの言葉はどこに
消し忘れみたいに胸の奥でまだ小さな湯気が立っている夜 #短歌アイロンをかけても消えない線があり たたんだ夜の深さを知った 短歌空席のまぶたを閉じるみたいにね時間の羽を胸へしまった #短歌ハンガーが少し重たい気がしてる きみのかたちがまだ揺れている
卓上の灯り消さずに椅子を引く 書きかけの頁 閉じぬまま置く #短歌嘘だからやさしく触れる爪の先 割れた月さえこちらを向いた #短歌迷わずに差し出す骨の透ける先 白紙のなかに火種を置いた #短歌白線を喉まで引いて立ち止まる 沈黙だけが旅券を持って #短歌
外れた輪ひとつぶんだけ空がある 追いつかなくてほっとしている #短歌濁音をそっとひとつぶのみこんでくぐもる声を歌にしていく #短歌マグカップ湯気だけ残し出ていくね さめない場所をテーブルにして #短歌掌の水脈ひらき根をのばす 咲くとは内に火を抱くこ
ポケットの奥でぬるんだ硬貨たち 決められないまま夜を抱いてる #短歌呼ばないでいれば壊さずに済むものを知ってしまった夜が動けない #短歌離したらもう戻らない気がしてる 形ないまま覚えていたくて #短歌鍵をかけ確かめるまでのあいだだけ まだ外側にわた
テーブルの上に伏せてた手のひらを返せば少し軽くなるかな #短歌洗いたてのコップを棚に戻すとき同じ重さで今日が終わった #短歌呼びかけを最後まで聞かないことでわたしのままでいられる気がする #短歌カーテンを引けば昨日の匂いして今日も静かに箱へ戻した
なにもないことの明るさスクロールし あなたの今日に既読を置いた #短歌口にせずわけあうまえのやさしさがフォークの銀にひかりを残す #短歌すり減ったぶんだけ増えるまなざしをだれにも言わず結ぶ靴紐 #短歌ちゃんとある夜の重さを抱くように空の椅子にも影
ほどけた指のぬくもりをしまいこみひとりの形に戻っていくよ #短歌行き先を言わないままのくちびるに夜だけそっと触れてほどける #短歌ほどけないままの名前を抱きしめてやさしい檻に鍵をかけてる #短歌灯りだけ残るホームの端に立ち 行き先のない影をのばし
つきだして舌にふれたる春の糸ほどけるように空は遠のく #短歌指先に残ったままの夜があり飲みきれなくて朝へ持ち越す #短歌春なのに多分雪降る気配して手袋のまま君を待ってる #短歌サブスクで聴けない曲を持っている きみの沈黙だけが再生 #短歌言葉より遅
聞きすぎて誰のさびしさかわからず 光るピアスを夜に預ける #短歌春寒のせいにしておく落花とかプランターとかきみとかの全部 #短歌尻すぼみだった会話をそっと撫で君のつよがり夜にほどける #短歌ざる越しに水のかたちがほどけてく何も思わぬ指だけがいる #
夜の芯すこし減らして書くたびに未来の音が指へにじんだ #短歌汚すとは触れてしまうと言うことか白き静けさ指にほどける #短歌残り香をたどる心の行く先に名を持たぬまま春ぞひらける #短歌芥川の名を呼びつつ返す声 正しき位置を探しあぐねて #短歌鍵をまだ
終わらせることもできたがそうせずに体つ温だけをここに置いてる #短歌水をやる指の冷たさそのままでわたしはわたしを咲かせてみたい #短歌結び目を直さないまま歩くのはまだ寒さから離れたくなくて #短歌あたたかいままで隠れている花を光のほうが探しにくる
触れた指戻す理由を探しつつ知らないままの形を守る 短歌拭き取れば消えてしまうと知りながら指を離せずしばらく置いた #短歌シャッターを下ろす手首の細さごと残して部屋はひとりを選ぶ #短歌変顔を安く差し出す夜の奥 本気の顔はまだ脱げなくて #短歌やわら
いまはまだそういう気分じゃないのです ドアの隙間に午後をはさめば #短歌思い出をたたむみたいに夕暮れは今日の輪郭やさしく消して #短歌真ん中で光るみたいにためらってわたしをわたしより先に知る #短歌年齢を脱ぎ捨てる水 胸に満ち名もなく泳ぐ午後が疼く
まだ食べる前の静けさ持ったままフォークの先が少し濡れてる #短歌靴の裏は消えるものだけど見ていたことは消えてくれない #短歌みんなもういなくなっちゃったあとだけど夜はちゃんとここにあるよね #短歌きったあともしずけさだけがつづくからここにいること
定食の小鉢を最後まで残したきみの名前を思い出してる #短歌改札の向こうで手を下ろすときもう見えなくても平気になるね #短歌大事だと言われすぎてしまった日 言えないことがひとつ増えたよ #短歌終電をわざと逃した改札で理由じゃなく て夜を見ていた #短歌
改行の位置を直して送り出す 昨日の人はもういないまま #短歌選択の重さを語る掌で透明な夜をひとり飲み干す #短歌あいまいなままの響きを置いてきて言葉の骨を拾えない夜 #短歌月明かり追わずに指を休ませていのちの線を静かになぞる #短歌返さないこともひ
言わぬまま続く関係夜にあり触れあう舌が熱を覚える #短歌破るたび白さが増していく胸で 言葉は箱に戻されていく #短歌通知音ひとつで揺れる自尊心 既読の秒針ぼくを測るよ #短歌陽だまりに老人の椅子ひとつ置き やわらかく折って座らせ #短歌掬うたびこぼれ
どこへ行く 聞かないことも約束で 軽い鞄のままでいようね #短歌飲み干せば済むはずなのにそのままで朝の光をちょっと試してる #短歌ポケットの底で小さく揺れている 肯定だけが体温になる #短歌ひややかな床にころんと落花生 少し眠れば芽も出るかもね #短歌
台所 火の名残ある指先を嗅げばひとりの暮らし立ちのぼる #短歌風紋を胸に写して立つひとよ 離陸しないで空を抱けり #短歌境界線そこに死の語を仮置きし水着は今日の防波堤なり #短歌ためらいをほどく仕草で風を抱き冬の名残を空に返せり #短歌くつひもをほど
夕焼けがなくなる前の呼び声で名前じゃないとこほどけて向かう #短歌トンネルの明るさだけを先に食べ鍋の底にはまだ夜がある #短歌丸くなる理由を川に聞かないで 止まった時間が石を抱いてる #短歌背に乗せた夜が答えでいいのかと神もいっしょに立ち止まって
雪になる手前で止めた願いとか触れない方があったかいやつ #短歌助詞だけ入れ替えながら暮らす日々 走る瞬間に文がほどける #短歌野ざらしの肺で吸い込む風があり勝つという名の理由を洗う #短歌曇ったら逆に落ち着く眼鏡越し世界は今日はぼんやりでいい #短
返却日忘れていいと言う声で背表紙ごと冬がひらいた #短歌待ってないもうここにいて終わってる 生きるってたぶんそういう作業 #短歌名の奥に踏み切れぬまま雪駄置く 冬を知らない素肌の罪よ #短歌受け取りはサインも要らず 冬だけど不在票だけまだあたたかい
見なければ平気なはずの通知音 消した指先まだ君を知る #短歌雨の日のフライパンだけ熱々で割られる前の卵が待ってる #短歌動かずに待ってるだけのぬくもりが折れないままの骨を照らすよ #短歌左右では足りないことを知っていてそれでも空を数えてしまう #短