次の日の朝。歩きざまに3組をのぞく。まだ来てないのかな。昨日借りたの返したいんだけどな。困ったな。たまたま会えない限り返せないなんて不便。どこにいるか知っていれば良いんだけど。ちょっと待っていよう。「あれっ、春名さん、おはよう。」うちのクラ
最初の転校生ブームは早くも2日で収まった。反応の薄い、つまんない奴だと分かると、潮が引くようにサーと周りから誰もいなくなり、平穏な日々が戻ってきた。私は無口になった。あたし話ができない訳じゃないのよ?話しかけられたから返事してるよ。答えられ
転校は慣れているから、別れが寂しいなんてことは無い。どうせ別れを惜しむような親友なんかいない。幸いに。どうせなら、誰も知っている人がいない所に行きたかった。初めての場所は心細いけど、誰かいたって何の助けになるわけじゃない。前のことは全部捨て
昨日は結局迷っているだけで、メイの家には行けなかった。一旦帰ってよく考えてからにしようと戻ったが、考えているうちに夜になってしまった。行かなくちゃ、君の家に行かなくちゃ、傘がない〜 by井上陽水 などとふざけている場合ではない。今日もよく晴れ
翌朝。始業前に持ってきたのであろう、紙袋が机の横に引っ掛けてあった。メイの席を見ると窓の方に顔を向けて座っていた。すれ違っても無表情の無視、一言何かあっても良いのに。でもこれで普段どおり。自分は今日は別の友達と遊ぶ予定があったから、話すこと
「あたし男の子だったら良かったな。」メイはよくそう言っていた。「あたし男の子になりたいの、他の友達みたいに男の子の遊びができるじゃない?女の子だったら、なんか変なかんじになるじゃん?本当の友達になりたいの、名前だけでなくて」その日の放課後、