MAY 6（作成中）

翌朝。始業前に持ってきたのであろう、紙袋が机の横に引っ掛けてあった。
メイの席を見ると窓の方に顔を向けて座っていた。
すれ違っても無表情の無視、一言何かあっても良いのに。でもこれで普段どおり。自分は今日は別の友達と遊ぶ予定があったから、話すこともないということなんだろう。機嫌が悪い訳ではないんだろうが、極端なんだよな。

リキコがまた変なことを言ってくる。姉ちゃんと結託して何か考えてる。周りからやいやい言われるのは本当に迷惑なんだよ。そういうんじゃないんだから。メイちゃんだって、そんなこと思っていない。まさか変なことを吹き込んでないだろうな、と言うと、「安心して。邪魔したりしないから」と言いやがった。ふざけるな、あいつなんか友達じゃねえ。
「だって転校したらもう会えないんだよ？今ならまだ間に合うよ？きっとあの子だって好きよ、」
メイちゃんが何を考えてるのか分からないけれど、なんかそういうことじゃない気がする。

「メイ！」帰り際の自転車置き場で、声をかけた。「これ、受け取ったから、ありがとうな」と言うと、うなずいて「それ洗濯してないから、」と言った。「じゃあまた、」と去っていった。

待ち合わせ場所には普通に自分の仲間が来ていて、、そりゃそうだな、いくらリキコでもそこまでは手を回して来ないわなと思った。
いや、ああいうことを言っていたから何やらベタな展開を予想してしまっていた。
期待していたわけではない。

自分がもっと友達が多かったらな。自分の仲間に紹介して一緒に仲間になって遊んだりできたのかもな。そうすればあの子がずっと一人でいることは無かっただろう。あー、そうすれば良かったのか。

翌朝、最近はいつも教室に入る頃には席についているはずのメイがまだ来ていない。確かに昨年はよく遅刻していたのだが、また調子悪くなってきたんだろうか。
と思っていたら、朝の会に先生が「春名は今日は欠席」と言った。ああ、ちゃんと休む連絡をしてあるんだなと思った。
ところがその次の日もメイは欠席していた。
もう自分がこの学校に行くのは今日が最後なのに、ちゃんと挨拶もできていないのに。

その日の帰り道。
メイの家は知らないが、だいたいどの辺にあるか知っている。いつもの坂道の、ずっと登ったてっぺん辺りと聞いていた。探したら多分わかる。
いきなり行ってみるのも変だよな…。いや欠席だから様子を見に行くのはアリか。それに、もうすぐ引っ越すのだから、最後だから、挨拶しにいくのは変じゃないか。…そんなに考えることでもないんだけどなあ。友達の家に行くだけだよ。でもなんて言って会ったらいいんだろう。
そもそも自分は友達と認識されているのだろうか。こっちは軽い意味で友達だよと言って受け止めてもらっただけで、メイがどう思っているのかはよく分からない。
別にいちいち確認しなくても良いと思うが、、なんか重いし、多分聞かれてもイヤだろうし、
さあ、どうしよう。