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日記一覧

「おっす、久しぶり、ごんちゃん」「おいっす」 俺達は広島駅で久しぶりの握手を交わす。ネットゲームの中では毎日会っているが、リアルで会うのは半年ぶりだ。「クペ、元気そうじゃな」「それしか取り得ないからね」俺は両手の親指を立てていう。「今から大

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 書道。 それは墨で字を表現するだけでなく、自分自身を映す鏡だ。 墨で書く字は旅のセーブポイントであり、今まで辿った形跡はリセットできない。俺は今も、自分だけの字を探し迷いながらも前を向き、旅を続けている。 その旅の途中、二つの字に出会い迷

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「おじいちゃん、あれが欲しい」「お、綿菓子か」 渚(なぎさ)の視線の先にはふわふわの綿菓子が入っていた。俺は商品を受け取った後、彼女のために小さく千切って渡すと、首を大きく振って断わられた。「やだ、そのまま食べたい」「わがままやなぁ、ほれ」

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 花は妖艶な香りを残し、鳥を惑わす。 色をつけ惑わされた鳥は感じたままに飛び、思いを風に乗せて私の元へ届けるだろう。 花鳥風月、四季の移り変わりをあるがまま美しく表現する言葉だ。今の私には存在しないものばかりで、自由に表現できる姉が羨ましく

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 ほう ほう ほたる こい あっちのみずは にがいぞ こっちのみずは あまいぞ ほう ほう ほたる こい「えーこちらに見えますのが、蛍の里と呼ばれる名所です。この橋の下にいる蛍はほとんどがゲンジホタルで、なんと蛍の産卵を見ることができるんで

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「ふうん、先輩も大概、女たらしですね」 伊予(いよ)ちゃんはカルアミルクを含みながら俺を見ていう。「こうやって女の子とデートしている時に他の女の子の話をするなんて、卑怯だと思いますし幻滅します」「デートじゃないだろう」俺は目の前にあるナッツ

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第三章 『楓の終幕』  花屋の店員・桃子が奈良にある室生寺に向かう話です。  PART1(1/7) http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1953290954&owner_id=64521149女刑事リリーが桃子と、夏鳥家に行く話です。  PART2(2/7) http://mixi.jp/view

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  14.    翌日。 桃子は銀介に朝食まで御馳走になり二人で五重塔に向かった。昨日は暗闇で全体像が掴めなかったが写真で想像していたイメージより断然小さかった。「こういった古い塔は急に思い立っても作れないんです。木材は山で切ってもすぐに使

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  12. 職員の薦めで寺を出た後、近くの民家に入った。簡素な佇まいだが柱は上等なものを使っている。何でも室生寺で働くことになってからずっとここに住んでいるらしい。 職員は朽葉銀介(くちは ぎんすけ)と名乗った。寺の一番奥でお守りの札を書い

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  9.  京都についた桃子は早速、初日の目標である海住山寺に向かった。ここで楓の居場所が掴めたらそのまま探るつもりだ。しかし山の中にある五重塔を見た時には違和感を覚えた。 写真の風景とは全く違ったのだ。職員に話を聞いたが、確かに修復を行な

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  7.「それじゃリリーさん行って来ますね」「うん、行ってらっしゃい。気をつけてね」 三人で雑談を交わして一週間後、桃子は予定どおりに京都に向かった。新幹線で行くため最寄の駅まで彼女を送った所だ。 リリーはマフラーを揺らしている桃子に思いを

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 ……鳥になりたい。 俺は土手で夕焼けに染まる空を見ながら思った。 ……鳥になって空を飛んで死にたい。 空を飛べれば好きな国へ行って、自由気ままに生きて、いつでも死ぬことができるのだ。人間、生まれてくる方法は一つしかないが、死ぬ方法は無限に

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  5. 蘇鉄の家に行ってから一週間後、リリーは再び桃子と晩御飯を食べていた。最近残業がないため、彼女とゆっくり過ごすことができているが、彼女の方は何かせわしなく動いている。「リリーさん、お話があります」桃子は味噌汁を注ぎながらいった。「実

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「はじめまして、ひーはーといいます」 俺が頭を下げて挨拶をすると、同志が俺に挨拶を返してくれた。「よろしく、ひーはー」「よろしくっす」「たっぷり飲みましょう」「今日は雨の中、来てくれてありがとうね、ひーはー」 キャプテンが俺の手を握り俺に笑

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 ※この話はめぞん一刻をパロディにした作品です。  めぞん一刻のイメージを壊す可能性があるので、それでもいいという方は読んで下さい。  反対に知らない方は内容をよく理解できない可能性があります。予めご了承下さい。    ……はぁ。なんでこん

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  17. 食堂の外にある自動販売機でビールの缶を二本だけ買いエレベーターに乗り込んだ。正直にいえば、まだ飲み足りず一人でも飲みたい気分だ。 リリーは写真を自分の部屋に置いた後、彼の部屋に行き尋ねた。「まだ飲めます?」「もちろんですよー、そ

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  15.「さ、着いたよ。……だけど、本当にいいの? まだ早いんじゃない」「いいの、自分を信じてくれている人がいるから、止まれないの」 桃子は目の前にある建物の中に入った。建物の中は薄暗くどんよりとした空気を放っている。それでも前に進み目的

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  11. 登山を終え、下宿先に戻ってきた二人は食堂で落ち合うことにした。リリーは飲み物を注文しようと手を挙げた時、ラムネの瓶が再び目に入った。 ……今度は注文してみようかな。「春花さんは何を飲みますか? 私はラムネを飲んでみようと思うので

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お題『21〜30の短編』 タイトル『21〜30の作品総評』 PART3 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1953107896&owner_id=64521149 21〜30の作品の総評、感想、ポイントによるランキングが載っています。 5月20日(金) お題21『花屋』 タ

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お題『11〜20の短編』 タイトル『11〜20の作品総評』PART2 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1952678270&owner_id=64521149 11〜20の作品の総評、感想、ポイントによるランキングが載っています。 4月30日(土) お題11『なやみムヨウ

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お題『1〜10の短編』 タイトル『1〜10の作品総評』PART1 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1952347440&owner_id=64521149 1〜10の作品の総評、感想、ポイントによるランキングが載っています。 4月20日(水) お題1『お茶』 タイトル『新

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  9. 屋久島二日目。 天気予報通り、雲一つない青空が広がっていた。昨日まではぼんやりと曇っていた景色が嘘みたいで、雄大な山が燦々(さんさん)と輝いている。 椿と共に弁当を受け取った後、レンタカーに乗り込んで、もののけの森に出かけることに

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  6. 鹿児島船から降り、遠くの方で旗を振っている中年の女性がいた。予約していたレンタカーの業者だ。そこから手続きをし山荘へ向かう。「もう、ついちゃいましたね」 椿は雲の掛かった山を眺めながらいう。この広大な景色を見て彼は何を思うのだろう

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 こんにちは、草薙創志(くさなぎ そうし)といいます。 今日は今までにおすすめされた本を紹介し、自分なりに調べた結果、一言まとめ集を作ろうと思い、日記に書かせて頂きます。とりあえずざっと、おすすめ本を書いていき、そこに一言添えて、読めたもの

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お世話になっています、草薙創志(くさなぎ そうし)といいます。 私は毎日1つ、10分で読める短編、100個作ることを目標にしておりまして、今、20作品目まで完成しました。 そこで私のスキルアップ、作品の完成度を高めるために、10作品の総評を取

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第二章 『花火の閃き』 女刑事リリーが花屋の店主・椿と屋久島に行く話です。  閃光花火のように小さい光にも人の思いは詰まっています。 PART1(1/7) http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1953106786&owner_id=64521149女刑事リリーが桃子と一緒に

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第一章 『一瞬の輝き』 女刑事リリーが殺人事件を追うミステリーです。一話完結ですので、これだけで終わります。桜の花びらが魅せる、一瞬の輝き。どうぞ、ご堪能して下さい。 PART1(1/10) http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1952664796&owner_id

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  4.「お久しぶりです、冬月さん」 店に入ると椿は黒い器に白とグリーンの花だけを生け込んでいた。すらっと伸びた白慈色のカラーの下に萌黄色のピンポンマムが穏やかに佇んでいる。そのメッセージカードには御供という文字が書かれていた。「こちらこそ

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  1.  ……なぜ私はこんな所にいるのだろう。 リリーは筋肉痛になった足を引きずりながら山の頂上を目指していた。全てがエメラルドグリーンに覆われた土地で登山靴を履き、たった一本の杉を見るためだけに旅行に来ている。体は無意識に動いているが、

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