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日記一覧

「あー気持ちいい」 俺はでこに載せたアイスノンに感謝しながら目を閉じた。風邪を引いているにも関わらず、快適に過ごせるのは文明の力に感謝しなければならない。風邪薬も飲んでいるので悪い症状はどこにも起きていない。 これを幸せといわず何というのだ

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一つ、話をしよう。 赤のものを一つ想像して欲しい。 あなたが今、想像した色を私に口で説明できるだろうか。 赤といっても色々な種類がある。リンゴのような紅緋(べにひ)色、夕日のような茜(あかね)色、鮮血のような朱(しゅ)色、酸化した血のよう

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「いい天気でよかったなー」「そうだねー」 私は彼に合わせるように伸びをしながら頷いた。緩んだ上着のニットをしっかりと張って胸を強調させるが何の反応もない。「お、舞、見てみい、あそこに狐がおるで」 私はバックミラーで確認する。そこには道路に突

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 茶道。 それは静寂を求める道だ。 日本の四季を生きるあたし達は自然に添うように生きてきた。春には野に咲く花のように可憐な心を纏(まと)い、夏には熟れた果実の祝福を喜び、秋には朧(おぼろ)月に密やかに思いを寄せ、冬には家族で暖炉に心を落ち着

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 『白雪姫』****************** SE 雷の音 魔女「さあ、白雪姫、このリンゴをお食べ」 白雪姫「これで本当に願いが叶うのね?」 魔女「ああ、早くしないと願いが消えてしまうよ」 白雪姫「それじゃあ……」 SE 白雪姫が倒れる

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 むかーしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。 おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行かずに自宅でアフィリエイトをして稼いでいました。ええ、おじいさんの年金では生活が苦しかったからです。 ですが、たまた

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「お、今日、天秤座一位じゃん、ラッキー」 彼女はめざましテレビを見てにやけている。 私はその姿を見て毎回、がっくりとくる。天文部だったくせに情けないと――。「ねえ、見て見て、一位だって。あなたの山羊座は何位だろうね?」 彼女は朝飯のトースト

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   1. 「なあ、お前は本当に光一なのか?」 俺は手術室から出てきた彼の胸倉を掴んでいった。「お前、どうして母さんを……救うといっていたじゃないか。手術は絶対に成功すると、それなのにどうして母さんは……死んだんだよ」 いつもの白衣を着て、

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 筆に緩く力を込めて色をつけていく。配色の仕方はどうかと自分の心と向き合い対象物を見る。 よし、この色だ。これで俺の作品は完成する!「さっさとしてよ、5月っていっても寒いんだからね」 そういって彼女は俺の体を蹴った。「もう少しだけ、な。頼む

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「あ〜、中トロが食いてえなぁ」 俺は客の注文を作りながら思った。今、作っているのは向日葵がメインのアレンジだ。5月になると夏の季節花を注文で取り寄せることができるのだ。「今日も残業かぁ、ちくしょう。寿司じゃなくてもいいから、まともなもんが食

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『この子供達、絶対お父さんの血、受け継いでないよね、あんた誰だよっ』こんにちは、草薙創志(くさなぎ そうし)といいます。とあるマイミクさんからバトンが回ってきたので、思うまま書いてみます。もし興味があれば、読んで見て下さいね。1:読書は好き

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  16.   「こんにちは、また凄い量の花束ですね」  リリーが尋ねると、椿は笑顔を見せながら応えた。 「ええ、そうなんです。卒業式シーズンは終わったので、退職用です」  店のテーブルには花束が無造作に置かれ、メッセージカードが散乱していた。

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  13.  リリーが青々とした庭園に踏み込んだ時には、冷静さを取り戻していた。深呼吸し迷いなく目的地に向かう。空を見上げると灰色の雲が浮かんでおり今にも降り出しそうな天候に変わっていた。  皐月は外の庭の手入れをしていた。雨が振る前に終わら

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  12. 「えらい遅かったね、間に合ったのかい?」  部屋に戻ると、蘇鉄は笑顔でいった。 「女性にそんなことを訊くのは失礼だと思うんですが」 「すまんすまん、あまりに遅かったからね。ええと何の話だったっけ?」 「鋏の話です」 「そうそう、鋏って

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  10.  結局一睡もすることができずリリーは眩しい光を遮りながらブラックコーヒーで目を覚ました。普段ならコーヒーなど飲まないが徹夜明けには飲まずにはいられない。  鑑識官の話によると、刃物が二つ使われた形跡があったらしく、何でもナイフには

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  8. 「この部屋なのですね。しかし綺麗な庭だなぁ」  店主と共に家に入り事件現場の和室に入った。電気を点けた状態でも外の様子は暗くてわからないが、彼には感じるものがあったらしい。 「春花さん、理由をお聞かせ下さい。なぜ桃子さんが犯人ではな

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  6.  カツンカツンと音を立てる鉄の階段を掛け上がると、夏鳥皐月の部屋が見えた。桃子が出て行ったので居留守を使う必要はないだろう。  インターホンを押すとすぐに反応があり、長い金髪の褐色肌の男性が現れた。爽やかそうな若者でかなりの男前だ。

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お世話になっています、草薙創志(くさなぎ そうし)といいます。今日は、短編のお題についてです。今現在書こうと思っているお題ですので、変更する可能性があります。思いついているものをここであげ、何か書いて欲しいものがあれば、コメントを残して貰え

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  5.  署についた後、リリーはすぐに秋風桃子の事情聴取に臨んだ。身長が低く女の子らしい淡い顔立ちをしているが、ここ何日か寝てないのだろう。目の下のくま、肌の荒れから衰弱している様子が手にとるようにわかる。  出頭してくれたのだ、すぐに取り

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  4. 「こんにちは、再びお訊きしたいことができました」  店のドアを開けると、店主が花束を作っている所だった。テーブルの上には春の代名詞であるチューリップ、スイートピー、菜の花が行儀よく並んでいた。 「すいません。ちょっと急ぎのお客さんが

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お世話になっています、草薙創志(くさなぎ そうし)といいます。 私は毎日1つ、10分で読める短編、100個作ることを目標にしておりまして、今、20作品目まで完成しました。 そこで私のスキルアップ、作品の完成度を高めるために、10作品の総評を取

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こんばんは、草薙創志(くさなぎ そうし)です。私の代表作にしたい作品、『瞬花終灯(しゅんかしゅうとう)』をMIXIにアップします。とりあえず、第一章までアップしようと思っていますが、もしかすると最後まで載せるかもしれません。あなたのお時間が

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2. 「ええ、びっくりしましたよ。夜遅くに秋風さん家に灯りが点いてたんです。それで昨日頂いたお裾分けのお皿を返しに行ったらね……」  枯枝美空はかすれた声で何度も同じことを繰り返していた。手にしている杖がなければまっすぐに立てないのだろう。先

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 0. 心の中に一つの透明なガラス玉があった。 それはラムネ瓶の蓋をしているように感情のパイプを塞いでいた。  ガラス玉があることによる息苦しさはない。  なぜなら、それは自ら作り出したものだからだ―――。 「私の心もすでに枯れています。それ

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「おお、お前さん、いらっしゃい」「久しぶりっす。親父さん」「中越はもう来てるぞ」 店の中を見ると、親友のりょうちゃんが座っていた。夜勤明けなのか、少しだけ顔がやつれているようにみえる。「りょうちゃん、元気?」 無精ひげが生えている彼の姿を見

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 生け花(いけばな)。 それは生きている花を直接器に挿け込み、花本来の姿を目の前に映す鏡だ。 生け花には基本の生け方があり、それは江戸時代から続いているので無碍(むげ)にできない。私はその型を1つずつ覚えることが好きだった。覚えたら、おばあ

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「意外に都会じゃないか、ここも」 北九州市にある小倉駅で、俺は新幹線から降りた。いつもは博多駅まで向かうのだが、この途中で下車したのは打ち合わせがあるからだ。打ち合わせを終えた後、一人で一杯やるのが今日の楽しみだ。 待ち合わせ場所は小倉駅の

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「じゃあ、今年の文化祭はお化け屋敷で決定です」 教壇の上に立っている天国(あまくに)さんが両手を叩くと、皆がそれに賛同するように拍手を始めた。 彼女の隣にいる僕は両手を叩きながら肘で彼女に合図を送る。「本当にこれでいいの、天国さん?」「しょ

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  ……君の心臓を救いたい。 私は今でもそう思っているがそれは無理だろう。君の心臓を守りたいし、支えていきたいとも思っているがそれもできない。 あなたをわが子としてだけではなく、一人の人間として認めていきたいからだ。 時を経て、私にできるこ

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ジュー、ジュー。肉がちょうどいい具合に焼けている。 よし、食べようと箸で取ろうとすると、キャプテンが横から奪ってきた。「へへ、オレの肉ぅ」 俺の横に座っているキャプテンが肉を噛み締めて喜んでいる、これだけで幸せになれるとは情けない。「って何

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