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2008年09月29日09:41

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【音楽】Kancheli: Little Imber, Amao Omi@Nika Memanishvili, Matrix Ensemble Etc.

ECMの新譜から、ギヤ・カンチェリと言う人が最近になって作曲した反戦音楽を二つ収録した作品集。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/2727556

カンチェリ:
・アマオ・オミ・・無意味な戦争(混声合唱とサクソフォン四重奏のための。2005年作曲)
 ラシェル・サクソフォン四重奏団
 オランダ室内合唱団
 クラース・シュトク(指揮)
 録音:2006年5月(デジタル)

・リトル・インバー(小さなアンサンブル、歌手と児童&男声合唱のための。2003年作曲)
 マムカ・ガガニージェ(ヴォーカル)
 ザザ・ミミノシュヴィリ(ギター)
 マトリクス・アンサンブル
 ルスタヴィ合唱団、児童合唱団
 ニカ・メマニシュヴィリ(指揮、キーボード)
 録音:2003年8月(デジタル)

カンチェリはグルジア出身の現代音楽作曲家で、この人物の詳細についてはWiki等の既に出ている。また、曲の成り立ちに関してはHMV等のサイトを参照のこと。

少し前にティペットのオラトリオ「われらが時代の子」という少々沈痛な曲を聴いたが、テーマ性という観点で論じるならばカンチェリのこの二曲はそれと同根の作品と言える。但し、正面から難局の淵へどっぷり浸かるのではなく、どこか斜めに、そして随所に諦念を臭わせつつ曲を繋いでいくのだ。

アマオ・オミは静謐で、時にエネルギーが噴出する中規模コーラスが全編を占める反戦曲なのだが、フィーチャーされているサックスがなんともたおやかで意外な取り合わせである。ゆったりと柔らかく吹かれるアルトサックス、少々ピーキーなソプラノサックスが破壊と殺戮の無意味さを揶揄しているのか、はたまた犠牲者を鎮魂しようという意思の現れなのかは分からないが、唱される歌詞の内容とは相容れない違和感がある。

リトル・インバーは同じくコーラスとギター+キーボードという器楽編成をとる反戦曲で、こちらは太く地を這うような男声合唱とか細い児童合唱が織りなす対比が少々劇的、そして儚く虚無的な嘆き、また僅かながら差し込む希望の光を表現しているようだ。シェーンベルクやアルバン・ベルクのような12音技法によらない調性のある古典的な平均律で書かれた曲のようだが、ところどころ無調性に振れる箇所があって緊迫感が襲ってくる。

どちらもおしなべて静謐な展開の曲であってアルヴォ・ペルトと類似しているかの印象だが、カンチェリのこれらの作品はペルトの作風に比べて音粒の数は明らかに多く、旋律の起伏も比較的大きい作品だ。決して重苦しい曲ではないが聴いているとなにか胸に迫ってくるものを感じさせられ、心穏やかに何度も繰り返し聴いてみたくなる曲だ。

(録音評)
ECM New Series 1812(4766394)、通常CD、録音年月は前述の通り。トラックは二つだけで、前者は割と暗めの音調、後者はニュートラルな音調である。どちらも傑出した残響と美しい歌唱が特徴で、とても純度が高く粗雑さが微塵もない透明度の高い素晴らしい録音だ。曲のダイナミックレンジも思いのほか大きく、弱奏部の音量は極めて小さく、装置には高い分解能が求められる。全編静寂ながらコーラスや楽器の定位はかなり良好であり、その臨場感の豊かさは一級品。ECMならではの高S/N録音の典型だ。
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