夏前のRCA Red Sealの新譜から、ミヨーの作品集。少々グロテスクで軽妙なジャケットが印象的な一枚。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2717101
ダリユス・ミヨー:独奏楽器と管弦楽のための作品集
スカラムーシュ(サクソフォンと管弦楽のための) Op.165c
打楽器と小管弦楽のための協奏曲 Op.109
クラリネット協奏曲 Op.230
エクスの謝肉祭(ピアノとオーケストラのための幻想曲) Op.83b
ピアノ、ヴァイオリンとクラリネットのための組曲 Op.157b
ファブリス・モレッティ(sax)、ゲルト・ヴェルシュレーゲン(打楽器)
エリック・ル・サージュ(p)、テディ・パパヴラミ(Vn)(Op.157b)
ポール・メイエ(Cl&指揮)、リエージュ国立フィルハーモニー管弦楽団
ダリユス・ミヨーは19世紀末に生まれ、20世紀半ばまで活躍したフランスの作曲家。音楽活動の最初はパリ音楽院で、ここでポール・デュカスに管弦楽を習ったとされる。
名前は知ってはいたがミヨーの作品を聴くのは初めてだったが、色彩感に富んでいてこれは非常に楽しい作品集だ。
しかしこれをクラシックに分類すべきかどうかは疑問で、ジャズやタンゴ風の陽性で起伏に富んだ旋律・リズムが特徴となる。無調性に近い曲想も随所に現れるが、これに関してはバルトークの作風に通ずる諧謔性が感じられる。
Op.109の迫力あるティンパニ、グランカッサ、洗濯板などのパーカッションは鮮烈で、これを操るゲルト・ヴェルシュレーゲンの超絶テクニックは必聴もの。
全編を通してポール・メイエが弾き振り(吹き振り?)するクラリネットのメロディーが軽妙で味があるし、同じリード楽器であるファブリス・モレッティが吹くサックスもまた絶妙で頽廃的な雰囲気を醸し出している。
Op.83bに登場するピアノは独特のシルクタッチで非常に速いパッセージをトレースし、これには思わず引き込まれて聴かされるものがある。ジャズピアノに見られる激しい崩しはない代わりに伝統的クラシック・ピアノにあるような厳格なスケール展開も見られず、肩の抜けた音色が秀逸だ。
クロスオーバー・クラシック、近現代音楽という位置づけで大いに楽しめるオーケストレーションとなっており、純粋クラシックは苦手という人には割と受けは良いかも知れない。とにかく現代的器楽が存分に楽しめる一枚だ。
(録音評)
RCA Red Sealレーベル、88697178602、通常CD、録音は2007年5月、リエージュ、Op157bは1999年、eglise du Bon Secours、パリとある。
音質はRCAレッドシールに一貫する艶消しで地味なもの。ブリリアンスの欠片も感じられない渋く太い音調だ。
しかし、ここに来てRCAレッドシールの新譜を何枚か聴いてきたが、ようやくこのレーベルの音作りの精神が理解出来てきた気がしている。つまり、演色を抑制した中で展開される重層的なサウンドステージ、よくよく聴き込むと分かる広大なダイナミックレンジと良く伸びた超低域、過不足のない中高域は非常にブロードであって、余計なブリリアンスと過度なアンビエント成分を削ぎ落とした分、音楽そのものの実体が浮き出ているのである。このCDでもティンパニの激しい連打、風圧を感じるグランカッサ、意表を突く場所に定位するシンバル、そして生々しい擦過音を伴うソロのリード楽器群など高音質録音の特徴はほぼ全て備えているのである。
つまり、音調が太く渋い大人のサウンドなのであって、これ見よがしのHiFiサウンドではないと言うことだ。これからももう少しこのレーベルのサウンドを研究してみたいと思う。
※本日は午後から出張のため、今週の音楽日記はこれでおしまい
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